20話〜天職と現職
ユリィナが水晶の上に両手を乗せているのを確認すると、マリアンヌは水晶に両手を翳し天職と現職を調べ始めた。
すると、水晶は淡い桃色の光を発した。
「ユリィナの現在の職業は、クスクス。あっ、ごめんなさい、あまりにも似合い過ぎていたので」
「マリアンヌ。そんなに笑えるほど、私に合った職業って何なの?」
「それはですね。ん〜いいのかなぁ。どうしようかな?ユリィナ怒らないで聞いてね」
「えっと、怒らないでって、そんなに酷い職業なのかなぁ。何か不安になってきたんだけど……。でも、知りたいし。マリアンヌ、怒らないから教えて」
「分かりました。ユリィナの現在の職業は、魔獣使いです」
そう言われユリィナは一瞬何も言えなくなった。
「ユ、ユリィナが……。ま、魔獣使いって!ワハハハハハハハ……。そりゃいい、笑えるな」
「ユリィナが魔獣使いって……。キャハハハハ、ちょ、ちょっと何か、マジうけるんだけど」
そう言いながらガルドとビスカが腹を抱えて笑っていると、
「あ、えっと、ガルドにビスカ。幾ら何でも、そこまで笑わなくてもいいんじゃないのかなぁ。でも、確かに私が魔獣使いって……。ん〜マリアンヌ。その水晶壊れてないわよね?」
「ユリィナ。流石に、この水晶が壊れているわけではないですよ。それに、天職が少し気になるのですが」
「えっ?天職が気になるってどういう事?」
「ん〜どうしましょうか?やはり知りたいですよね」
「それは、知りたいけど。でも、何か聞くのが怖くなってきたんだけど」
「そうですね。やっぱり教えます。ユリィナの天職は。賢者と出ているのですが、もう一つ召喚師とも出ているのです。2つの天職を持つ者はまれにいるのですが」
「2つの天職って、それも1つが賢者で、もう1つが召喚師。魔獣使いなら結びつくけど。賢者?ん〜、でも響きは賢者の方がいいかなぁ。あっ、そうだ!マリアンヌ。2つの天職って両方なれるのかな?」
「いいえ、どちらか片方になると思います」
「ん〜そうなのね。それなら私は賢者がいいかな」
「それならば、今の魔獣使いから、違う職業についた方がいいと思いますよ」
「違う職業かぁ。何がいいのかな?」
「そうですねぇ。そうであれば、魔導師系と聖職者系をマスターしておいた方がいいかと」
「そうか。それだと……。ん〜そうね。まずは魔導師系で何か探すかなぁ」
そう言うとユリィナは席を立った。
そして、ガルドはそれを確認すると、自分の天職と現職を見てもらう為に水晶の前に座った。