21話〜いざ革命派のアジトへ{改}
その頃ハクリュウ達は、ブラックレギオンの国境を越えていた。
「それにしても。この辺はやたらと岩とかが多いんだな」
「こっちの連中は、何故か、こういう地質を好むらしい」
「なるほど……。そういえば、アジトまで後どの位で着くんだ?」
「そろそろ着く。森が見えて来たからな」
「こちらでも、異世界の者が召喚されているとしたら、この国にも召喚魔導師が居るという事ですよね?」
「あっ!?」
グロウディスは何かを思い出したように、
「悪い悪い。すまん、すっかり忘れていた」
「どうしたんだ?」
「何を、忘れていたのでしょうか?」
「そういえば……こっちの仲間の1人に、ブラックレギオンで最も優秀な召喚魔導師がいてな」
少し間をおき、
「そいつが国がおかしくなってきている事に気づき、幼馴染の王直属の魔法騎士団長と共に、異世界の者を召喚しに行っていたんだった」
申し訳なさそうな面持ちでハクリュウとシエルを見ながら、
「その事をすっかり忘れていた。本当に申し訳ない!」
そう言うとグロウディスは軽く頭を下げた。
その後、色々と話をしている内に、3人を乗せた荷馬車はクロック村ちかくの森に着いた。
ハクリュウ達は荷馬車から降りアジトまで話しながら歩いた。
グロウディスは、ふうっと息を吐き、
「さてと、そろそろアジトに着く頃だな。近道をしてきたつもりだったが、思ったより少し時間がかかってしまった」
「そうなのですね。それにしても、まさかこんな森の奥に、アジトがあるなんて思いもよりませんでした」
(色々と、ここまで来る間に聞いた話をまとめてみたけど……。
俺はどうも、この国の成り立ちとかが納得いかない。
……というか、前に異世界から来た奴が、何でこんな規則を決めたのか。
みんな仲良くは悪くはないとは思う。だけど、これだと無理が出て来るはず。俺なら……)
そう考えているとシエルが心配そうにハクリュウを覗き込み、
「ハクリュウ様。どうなされましたか?」
「あっ!大丈夫。何でもないよ、ちょっと考え事をしてただけだから」
「そうなのですね。もし何かお困りの事がありましたら言って下さいね」
「そうだな……何かあったら相談するよ」
そしてハクリュウ達は話をしながらしばらく歩いているとアジトが見えてきた。