どうするつもりだ?
自問の間も足は自然に男の後を追い続けた。
時折、車窓から射し込む警告色の光が、
車内を赤く照らし出していた。
緊急監視統合システム《デュミナス》が、
作動したようだ。
機械仕掛けの金属製ボールが車外を浮遊している。
それに合わせ赤い警光色の光のフィルターが、
前方から流れて来た。
その光は車外を浮遊するボール型機械から、
出されているようだった。
このボールは自動監視プロトコルを行使する
監視ロボで、名をコープと言う。
歳よりはアポットと言ったりもするが、
これはアポット社が需要を担っていた頃の名残だ。
このコープは普段は、
監視カメラの様な役割しかしてないが、
緊急時にはより詳しく、
モニタリングの様な事も始めるのだ。
例えるならMRIやレントゲンの様なものである。
犯罪防止の為の自動監視システムというのが、
一般的な認識であろう。
だがそんな防犯装置も人の内の悪意までは、
監視出来ないのが現状である。
前方を歩く男の影がそう言っているようだった。
気付くと少女は車体の連結部を越えた辺りで、
立ち止まっていた。
こちらをチラリと振りかえる少女。
前方を歩く男はあからさまに顔をそむけていた。
僕はと言うと機を逃し、
少女の視線から目がはなせなくなっていた。
そんな僕を少女は怪訝そうに見つめていた。
渇いた空気が喉を焼く。
少女の肩に乗ったリス型ロボの目が、
警戒するように赤く点灯していた。
少女は不思議そうにそんな僕と肩に乗った相棒を
交互に見て、相棒の頭を撫でながら何かを囁き、
そのまま向きをかえ前にあるトイレの扉に手を
かけていた。
それに合わせた様に前を歩いていた不審な男は、
歩みを速めていた。
背後から少女に手を伸ばす不審者。
僕は咄嗟に駆け出していた。
驚いた様にこちらに振り向く男。
瞬きほどのその刹那、
僕は男の胸元に突進していた。
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