四章 かさ地蔵(三話)
「なんでお前が動けるんだ!?」
Mr.キャットはびっくりした。この能力で動ける者は一人もいないと。
「それよりも縄あるか!」
その本人のヤノはびっくりする様子もない。何故だと思ったが、
「縄あるぞ!」
Mr.キャットは縄を投げた。しかし、
「しまっ・・・」
カウントリセット
襲いかかって来ていた人が動き出したが、ヤノが攻撃を受け流し捕まえた。そして気絶させた。それと同時にヤノも気絶した。
「えっ、谷野!?」
Mr.キャットがびっくりして寄って来た。
「はー、いきなり走るなってMr.キャット・・・って谷野!?」
アカネも来た。一方メタナセは、
「・・・さっきから何が起こってるのだろう?」
メタナセの中では何が起こってるか分からないかった。メタナセから見ると、いきなり人が瞬間移動して気絶してと情報量が多い。
「おい、そこの谷野と一緒にいた女!運ぶの手伝え!」
Mr.キャットがメタナセにそう呼び掛けた。
「は、はい!」
メタナセはそう言うとMr.キャットとアカネの所に来て、Mr.キャットは谷野を背負って、アカネとメタナセで襲撃者を運んだ。
「ふー、とりあえず着いたな。」
運び終えたMr.キャットはソファーに腰かけた。
「ところでここは何処ですか?」
メタナセは疑問になったので質問した。
「ここは俺の元探偵事務所だ。前ここが襲撃されて俺以外全滅だったんだ・・・。」
Mr.キャットが普通そうに衝撃的な事を言った。
「え!?・・・なんでそんな事をほぼ初対面の私に言うのですか?」
「んーそうだな、メタナセって言ったっけ?あんた悪い人だと思えないし。」
「なんせ谷野が自ら信じて守ろうと思った人だからね。」
アカネが話に乱入してきた。
「・・・、谷野さんって何者なんですか?目的のない旅人ってことしか知らないんですが・・・。」
そんな質問をするメタナセにアカネが言った。
「そうね・・・私は彼に救われた話でもしようかな。」
一年前
アカネは風俗をしていた。アカネの家族はその風俗を営んでいる人に借金していたのだ。それでその人にメタナセを売る事を条件にチャラにしてもらっていたのだ。話が好きなアカネはたちまち人気が出た。
「主人あの・・・。」
ここでは営業主を主人と呼ぶようになっている。
「どうした?指名だから言ってこい。」
「あっあの。」
そう呼び掛けるアカネだったが、
「いいから言ってこい!!言うこと聞いてないと捨てるぞ!」
「は、い・・・。」
毎日主人にこんなことしたくないと言おうとしたらこうだ。何度か言ったことがあったが怒鳴られ、殴られで終わりだ。
毎日して、殴られ、雑に扱われ、辛くて、苦しくて、そんな日々を過ごしているとこんな考えが出来た。
(しないと、しないと、そうしないと私の居場所がなくなる・・・。とにかくしないと言うとおりにしないと・・・。捨てられる。)
もはやそう思って自分に言い聞かせていた。しかし、それが逆に快楽になっていた。
そんなある日だった。買い物に行っていると、
「ちょっとお姉さんいいかな?」
少しがたい良い男が声をかけて来た。
「なんですか?」
「ちょっといいですか?」
(またか・・・。)
アカネは町に来るとたまにそうやって声をかけられる事がある。目的はわかっているだろう。そんなこともあるのだ。しかしこの日は違った。
「よっし、それじゃ・・・」
男がアカネに手をかけた時だった。
「おーい、お兄さん達ー。」
やって来た少年はそう言った。
「こんな裏通路に用かな?」
「その女の人を僕にくれない?」
確かにその少年は小さく、声変わりもしていなかった。
「おいおい、小僧は引っ込んでな。」
「うーん、これならどうだ?」
少年は懐からお金を出した。その額200D、これがあれば1ヶ月暮らせる額だ・・・。
「おい、小僧この額どこで・・・。」
男がそう言うと、
「じゃあ、女の人もらってくね、じゃあね。」
「おっ、おう。」
少年とアカネはそうして裏通路から出た。アカネは少年に聞いた。
「なんで、無茶したの!私なんて・・・。」
「あんた、そんな事言ってるの?」
アカネはびっくりした。こんな事言ってくる人初めてだったからだ。少年はアカネの手の手を掴んで歩き出した。
「えっ、何処行くの!」
驚くアカネに少年は言った。
「決まってるでしょ!」
そう言われて連れてかれたのは、アカネが働いている店だった。そして、少年は入った。
「あのー。店主さんって・・・。」
「私が店主だが、坊やには早い所かな?」
店主はそう言って少年を外に出そうとした。すると少年は、
「この額であの女の人を譲ってください。」そう言って懐から600Rを出した。これは家が四軒位建てられる額だ。すると店主は、
「この小僧を取り押さえろ!」
そう言うと四人の男が現れた。少年は言った。
「交渉決裂かー、残念だ。それじゃ、こちらもいこうか。」
そう言うと少年は四人の男を軽々となぎ倒し、店主に駆け寄った。
「はい、これで言うこと聞くようになったかな?」
「はっ、はい!」
店主は涙目になりながらそう言った。
「じゃあ、もらってくよ。」
「女の人?何か最後に言うことある?」
少年がそう言うとアカネは言った。
「さよなら、ウジ虫ども!」
そう言って去った・・・。それから少年とはたまに会った。少年はアカネに家を買い、武術や剣術を教えた。少年と話す時はとても楽しく、素で話せた。そして少年はある日、急にいなくなった・・・。いなくなる少し前に名前を聞いた所、
「谷野 隆史だよ。」
そう答えた。
「という所なの。だから私はもし、もう一回来たらこの命が尽きても守り続けると誓ったの。それが恩返しだと思うからね。」
メタナセはそう言うと、メタナセは仮眠室で倒れている谷野の所に行った。
「谷野・・・。」
アカネはそう言って谷野の頬にキスをした。
「あっ、あの人いっ今谷野さんに、キッスをしましたよ・・・。」
メタナセが凄く戸惑ってそう言った。
「うーん、メタナセは戸惑い過ぎかな?」
Mr.キャットがメタナセにそう言った。
「まあ、そういうこと!」
アカネはそう言ってベッドで倒れている谷野にバグをした。すると・・・
「おーい、アカネ・・・重い。」
「誰が重い・・・谷野!?」
アカネはすぐに退けてヤノが起き上がった。
「谷野大丈夫か?」
Mr.キャットがそう聞くとヤノは答えた。
「おー、今は元の俺の出番か。」
「元の俺?」
メタナセが不思議そうに聞くと、
「三人に、元の谷野から言いたいことがある。それは・・・。」
続く