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四章 かさ地蔵(一話)

谷野はメタナセを背中でおんぶして、左肩にはリュックを背負って歩き続けていた。その目は覚悟を決めた。そう感じさせるものだった。谷野は、
(絶対に、生かすんだ。)
そう常に考えながら歩き続けた。
数時間した頃だった。肩から振動がして草原にそっと寝かすと、少しずつ目を開け始めた。
「・・・、見えない。」
(起きた!!えっと。)
「眼鏡だな。これでいいか?」
谷野はそっと眼鏡をメタナセの手に持っていった。するとメタナセは頷いて眼鏡を持ち、そっと着けた。
「うん、これだな。ありが・・・。」
メタナセは谷野を見ると止まった。
「あーー!?えっ、谷野だ!?」
「そうだよ。また殺そうとするのか?」
そう言うとメタナセはじっと睨んだ。
(でも何で俺を殺そうとしたんだ?・・・もしかして。)
「お前、あの執事達の関係者なのか?」
「そうです。だから襲いました・・・。」
少し震えた声でメタナセはそう言った。恐らく負けたと思ったのだろう。するとメタナセは、
「やっぱり殺されるのですか。」
(・・・。)
「は?誰が殺すって言った。」
メタナセは凄い唖然とした顔をした。
「お前、あの記事を鵜呑みしてるのか?」
「・・・はい。」
(ですよね。)
「そして俺を殺そうとしたと、んー。」
「あの、すみませんでした。」
メタナセは正座して深々と頭を下げて土下座した。
(起きたがどうしようか。)
谷野は腕を組んで言った。
「お前一応帰る所はあるか?」
「仲間の所ですがありますよ。」
(仲間の所か・・・。)
「なら仲間の所まで送るよ。」
「そうですね、私の名前はメタナセです。よろしく俺の名前はメタナセです。」
「知ってると思うが、俺の名前は谷野だよろしく。」
こうして二人はメタナセの仲間の所へ向かい始めた。
「・・・見つけた。」
暗殺者はスナイパーライフルを構えた。
「おい、後ろ。」
「ん?」
男はサイレンサー付きのハンドガンで暗殺者の頭に三発打ち、体にも三発打ってその場を去った。
「これでいいんですよね、『アカネ』さん。」
「はい。」
アカネは頷いた。

男の名は『Mr.キャット』。まあ探偵といえば探偵だが、彼は一味違うのだ。彼は転生といえば転生だ。しかし、彼は・・・

半年前(異世界)
「最近依頼こないなー。」
Mr.キャットがそう言うと女性は返した。
「そうだね。まあ平和なだけいいでしょ。」
「そうだな。」
3ヶ月前
「よし、依頼終わったな!というか最近探し物の依頼多いな・・・。」
Mr.キャットはゆっくり歩いていた。
「よし着いた。ただいま・・・。」
そこで見たのは・・・。数人の男女が血を流して倒れている光景だった。機材は割れたり、電気はチカチカと点滅しており、煽っているようだった。そして少し雨の後の独特の匂いがした。外は晴れなのに。それから調べてそれは『傘使いの能力の独特の匂いだとわかった』
「許さない・・・。」
それから探し回った。そして見つけた。

「ほい。」
アカネはMr.キャットの胸ぐらを掴んだ。
「は?」
Mr.キャットはキョトンとした顔をしたが、
「Mr.キャットさん、さっき谷野に殺意向けてたでしょ。」
アカネはそう言ってMr.キャットを睨んだ。
「いやいや殺そうとするなわけないでしょ、ならなんで助けるの。」
Mr.キャットはそう言った。するとアカネは言った。
「どうせ、あんたの手で殺して復讐したいんでしょ『転生者さん』。」
「えっなんで・・・。」
Mr.キャットはそう言って目が飛び出そうなくらいびっくりした。確かに少し前にあった人にバレるのだから。

約一週間前
アカネは谷野と執事達の目を盗んで館の裏口から出た。そして、ある場所に向かった。それはMr.キャットの探偵事務所『カスタード』だ。カスタードは殺人事件からもの探しまで様々している。まあここまでは他の所でもやってそうだがカスタードの所属者にはある特徴がある。
そこにいるのは一人除いて『特殊能力者』だ。
ここまではアカネが調べてわかっている。

「おい、アカネって言ったっけ。なんでそこまで俺達にこだわる・・・。」
すると、アカネはきっぱりと言った。
「それはね谷野にあるの。」
「谷野は俺達の敵だ!あいつに俺の仲間は・・・。」
そう言ったMr.キャットは
「カウント20、ストップ」

「はっ!えっ・・・。」
さっきまでアカネがMr.キャットの胸ぐらを掴んでいのに、逆にMr.キャットがアカネの胸ぐらを掴んでいる・・・。
「立場逆転だな・・・。」
そして、Mr.キャットはサイレンサー付きハンドガンを取り出し・・・。
「さよなら。」
といって打った・・・。
トン、トン
「・・・。」
「Mr.キャット・・・。」
Mr.キャットが打ったのは実弾に見せかけた偽弾だ。
偽弾は見た目は実弾だが、ゴム等で出来ていて殺傷能力のない弾だ。
「・・・見えない。」
Mr.キャットはそう呟くと、
「見えない?」
アカネはわからなかったのでまた言うように返した。するとMr.キャットは言った。
「俺の仲間を殺したのは確かに傘使いの能力者なんだ。しかし、あの谷野という者はどうしても殺してるようには見えない・・・。」
「谷野は殺すような人ではないからね。」
アカネはそう言ったが、
「アカネは谷野の何を知っている?」
Mr.キャットのその言葉で少し黙ったがやがて話し始めた。
「谷野はね・・・。」

続く


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