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はじまり

 世界には力だけが存在していた。だが、それも大した量ではなかった。しかしそれもそのはず、最初、世界はとてもとても小さかったのだから。
 時が流れていくと共に、徐々に世界は拡がっていく。それに伴い世界に満ちる力の量も増していく。
 世界がそれなりに広くなったところで、力に僅かな変化が現れる。何かを形作ろうとするような、そんな動き。
 しかしそれは、何かしらの形になる前に霧散してしまう。
 それからも世界は拡張を続け、力はその量を増していく。以前にもあった力の変化は、時折現れては形にならずに霧散していくばかり。
 更に悠久の時が流れ、世界は無限とも思えるほどに拡張した頃、力の変化は複数ヵ所で起こるようになった。それも世界が広くなった分、変化が訪れる回数も増えた。
 それでも未だにその変化が何かしらの形になった事はない。変化の兆しが現れ、そして消えていく。その繰り返し。
 そうしてどれだけの変化が繰り返された事か。一度として何の形も成さない変化ばかりであったが、それがある日唐突に終わる。
 現れたその変化はゆっくりと、しかし確実に形を成していく。今まで霧散ばかりしていたのが嘘のように力が纏まっていくと、次第にそれは何かしらの形に変化していく。
 永き時を経てゆっくりと形を成したそれは、しばらくの間その場に留まる。
「……………………」
 ボーっと何処か遠くでも眺めるような状態で、それは少しも動かない。それから更に時が流れたところで、それはゆっくりと動き出した。
 動き出したそれが何も無い世界を移動して、途中でピタリと動きを止めると、それから少し離れた場所に白い光を放つ球体が生み出される。
 その白い球体はしばらく膨脹するように膨れた後、そこそこ大きくなったところで安定した。
 白い球体が安定したところで、それはその白い球体へと近づいていく。
 そのまま白い球体の様子を眺めると、白い球体の中に何か小さな存在が居た。それは白い球体と共に生み出された存在で、役割は生み出された白い球体を管理する事であった。
 それはその事をその者に伝えると、その世界の発展と管理を全て任せて、今後の為に見守る事にした。

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