二章 異世界の中の甘味と苦味(二話)
スライムを倒した後、谷野の体力が4と危ない状態だったので谷野とアカネは草原の木陰で休憩していた。
(因みに一般的なら2割以下が危険とされている。)
するとアカネが質問してきた。
「谷野って何があってここに来たの?」
谷野はやっぱりその質問してきたか、と思ったが答えた。
「それがな、分からないんだ。」
「わからないって、普通分かるでしょ。」
アカネはそう返して来たが、谷野は本当に分からなかった。
「・・・。本当に分からないの?」
無言になる谷野にアカネはそう質問してきた。そして谷野は『頷いた』。
「ごめんね。」
アカネは地雷を踏んだと思い、謝罪してきた。少しして谷野はブツブツと言い始めた。
「過去が分からなくて怖いんだ。」
ここに来て谷野は初めて弱音を吐いた。男として情けないと思ってもどうしても辛かったのだ。
「大丈夫だから。」
アカネはそう言ってハグしてきた。そのハグで谷野は少し落ち着いた。谷野はふと我に帰って言った。
「・・・はっ、ごめん!!」
そう言った谷野にアカネは
「いいから座って。」
と言って、『穿いていたズボンを脱がし始めた。』
「えっ!?」
ビックリした谷野は必死に抵抗した。
「あの、じっとしてください。」
そう冷淡に返してきたアカネに谷野は、
「アカネ、もうこんなことする必要はないんだ。」
と言うとズボンを握っていた手が震えた。谷野はアカネの震えた手を握ってこう言った。
「アカネは俺よりも強くて正しい人間だ!ただ、才能は俺のモノだからな!!」
アカネはクスッと笑って、
「なにそれ、才能も私のモノですー!」
と言った。谷野は今はこれ以上探ったら怒りが増幅するだけだと思い、アカネの過去には触れない様にしようと思った。谷野とアカネは落ち着いてから出発した。
木陰から出発したのはいいが、日が傾いて来ている事に気がついた。
「谷野、夜のモンスターは手強いのが多いから宿を探そう。」
アカネがそう言ってきたのはいいが、見えるのは山と草原しかなかった。谷野がそれを指摘するとアカネはじっと考え始めた。悩んでいる谷野とアカネの元に誰かが寄ってきた。
「あの、すみません。」
谷野とアカネはビックリして見ると豪華な服装を着したお嬢様らしき人が話しかけて来ていた。
「はい!!」
二人はそのお嬢様らしき人の服装を見るなり姿勢をビシッとし始めた。するとお嬢様らしき人は、
「私はナコです。何か困っていそうだったので話かけましたが大丈夫ですか?」
谷野は流石お嬢様優しいなと思った。アカネはこの機会を逃すまいと思い質問をした。
「すみません、ここ付近に宿屋ってありますか?」
と聞いた。するとナコは、
「ここ付近はありませんが良かったら私の館に泊まっていきますか?」
流石お嬢様!!(二回目)
「はい!!是非泊まらして貰います!」
と谷野は元気よく返した。そして谷野とアカネはナコと付き添いの執事と草原を歩き、山を登り、その館らしき所まで着いた。その時には真っ暗になっていたので篝火が灯っていた。しかし、本当に大きいな。谷野はそう思いつつ、ナコと執事に着いていき、アカネと共に館に入って行った。
続く