四十年前、世界に突如として現れた迷宮は人類に未知の資源と超常の力を与えた。
停滞していた世界に飽いていた者たちは新たな夢を追い求めて、危険を顧みずに迷宮の深奥を目指した。
……のも今は昔。
国際迷宮法の大規模改正から三十年、迷宮は世界という大系に取り込まれていた。
点数制による厳格な入場制限に、安全且つ効率的な探索手法の確立。
迷宮での成果には高い税金が課され、一部の大企業だけが恩恵を独占している状態。
法という名の支配によって持たざる者は搾取され、富める者はより富んでいく。
もはやそこに夢はなく、ただ利益の追求が行われるだけの退屈な世界。
そんな世界で生きる玄野 暁都(くろの あきと)は、クラスと呼ばれる超常の特性を持たない底辺探索者。
無能だと蔑まれながらも病気の妹のために探索者として活動していた彼だったが、ある日同僚にハメられてパーティを追放される。
失意に沈む彼の前に現れたのは、迷宮法違反を歯牙にもかけない謎の女セツナ。
彼女の企てによって、暁都は人気迷宮配信者の誘拐事件に巻き込まれる。
その最中に『秩序を破壊する【無法】の能力』を発現した彼は、迷宮社会の表と裏で成り上がっていく。
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