魔王と勇者が、剣と魔法であまたの激闘を繰り広げてから1300年。
道具が進化し、魔法が消えてなくなった世界で、レナード・フットは『世界を統べる国』と呼ばれた大国、アラス王国の第二王子として生まれ育った。
花や動物を愛する心優しい姿から『微笑みの天使』と呼ばれていた彼も、王族のしきたりによって17歳の時に初陣を迎えた。
初陣といっても形だけのもので、ただ本陣で座っていればいいだけのはずだったのだ。
しかし霧深い中、レナードは味方の裏切りにあい、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。
周囲を敵兵に囲まれる中、レナードの体が黒い炎に包まれた。
「座したままで貴様らを葬ってやろう。【いにしえの魔法】でな――」
普段の温和な彼からは想像もつかないようなおどろおどろしい声と不気味な笑み。
なんとレナードの前世は、数々の勇者たちを返り討ちにしてきたことから『レジェンド・キラー』と呼ばれた最強魔王。
しかも封印されたはずの『いにしえの禁呪』と呼ばれる強力な魔法を覚えたまま、生まれ変わっていたのである。
こうして天使と悪魔が同居したレナードは『世界を統べる王』の座を巡る激しい争いに巻き込まれていく。
彼を待ち受ける、欲望にまみれた陰惨な陰謀と残酷な戦争。
争いとは無縁の場所で静かに暮らしたいと願っていた彼だったが、戦いに明け暮れていくうちに、抑圧された願望が芽生え始めて……。
そんな彼を支える仲間たち、家族、そして恋人。
魔法のない世界で、一人だけ極限魔法を唱えることができる主人公が、大切な人たちを守るために、仲間たちとともに、古今無双の王たちに挑み続ける異世界戦記。
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