「こら、リベラ、そんなに悪さしてると将来H.C.Sで捕まるよ」
これは、小さなころ俺がいたずらをするたびにに幾度となく聞いた母の言葉だ。
ヒューマン・チェイス・システム、通称【H.C.S】
それはクレシア王国の作り出した、国民の安全を保護するためのシステムだ。生後間もない赤ん坊に、微小のナノマシンを体に注射することで、国民の一挙手一投足を監視することが出来る。それにより、犯罪抑制率は過去に類を見ないほど上昇し、その功績から導入する国が増え、全世界シェア100%に達するまでに、そう長い年月は要さなかった。
だがしかし、そのシステムには裏の顔があった。それは、ナノマシンを脳へと寄生させ、人間の行動を制御、監視することで、全世界を支配下に置くことだった。逆らう人間のナノマシンを意図的に暴走させ、死に至らしめる事さえ可能だった。無論、そのコントロールが可能なのはクレシア王国だけであり、人々はクレシア王国に怯えながら生活することを余儀なくされた。
H.C.Sの世界シェアが100%へと達した時、クレシア王国の野望が動き出し、他国の人間たちはクレシア王国に支配され、クレシア王国以外の国家は壊滅した。それは、戦争ですらない圧倒的な支配であった。
皮肉にも、それにより紛争や戦争は無くなった。
平和な世界がクレシア王国により創り出されたのだ。
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