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第5話 不完全である謎

本日1話目です。よろしくお願いします。
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花うさぎと妖精たちが連れてきた幼子は〖渡り人〗だった?

『何ということだ。だが、それなら違和感にも納得だ』
良かった⋯無闇に魔法を使わないで

『そうね。急に魔法を使ってしまっていたら、魔力酔いを起こしてしまっていたかも。そうしたら、この小さな体が耐えられたか分からないわ』
まだ起きる気配がない小さな女の子の髪を労しげに撫でながら彼女が言う

『そうか⋯だが、足の傷や、他にも擦り傷なんかもありそうだ。見えないところは俺が出ていったら確認してくれるか?その間に俺は必要なものがあれば用意する』
ここにある薬は皆、魔力を使って作っている。もしかしたら、この子には強すぎるかもしれない。

『そうね、出来れば軟膏くらい塗ってあげたいけど⋯』
柔らかい足の裏は細かい石や、木の枝など落ちたものなどで傷だらけだ。出来れば傷跡など残らぬようにしてあげたい。

『あ、お湯に薬草を入れて浸かるのはどうかしら?この辺りの植物はそれ自体魔力を多少なりとも持っているから、念の為に魔力を使わずに採取したものなら⋯』

『身体を慣らすには丁度良いかもしれないな。よし、俺が摘んでこよう。ヒール草でいいか?マナ草もいるか?』
ヒール草は傷に、マナ草は魔力などの回復に効く。

『そうね、先にヒール草をお願い。マナ草は様子を見ましょう』

『了解。お前たち、私が詰むから運ぶ役を頼めるか?』

『『『了解なのです!』』』
『『『バケツリレー方式でいくです!』』』

ぴょんぴょんっ
『『『⋯やる』』』
ふわふわ こくこく

『花うさぎさん達も妖精さんたちもなのです?』

ぴょんぴょんっ
『『『⋯うんっ』』』
ふわふわ こくこく

『わかったなのです!』
『みんなでがんばるです!』

『『『『『エイエイオー!』』』』』

ぴょんぴょん
ふわふわ

『よし!じゃあ、その子を頼む。行くぞ!』

『『『『『はいなのです!』』』』』

『行ってらっしゃい』

彼女に見送られ、女の子が気になりながらも庭にある薬草園に急ぐ。


そして、お風呂では
『さあ、家妖精たち、私たちもこの子を綺麗にしてあげましょう』

『はいなのです!』
『お洋服脱がせるです!』
『傷に当たらないようにそぉーっとなのです!』

『そうね。ん~転んだりしたのかしらね。やっぱり擦り傷や、打ち身が見られるわね』

『お膝、血が出てるです』
『手のひらもなのです』
『おでこもなのです』
『『『かわいそうなのです』』』

『そうね。でも、頭は打ってないみたいね。良かったわ。傷口を洗ってあげましょう。小石とか入ってるから痛くないようにね』

『はいなのです』
『そぉーっと』
『パシャー』

『う~ん、髪の毛も洗ってあげたいわね。どうしようかしら』

『洗うです』
『土ついてるです』
『体も洗ってあげたいです』

『そうよね~。身体を先に洗ってタライの湯船に浸かってもらって、その間に髪を洗いましょうか』

『『『はいなのです!』』』

『じゃあ、石鹸泡立てて、泡で優しく優しく、傷口は特に泡が残らないように、お水で良く流してね』

『『『はいなのです!』』』

みんなで手分けして丁度身体を洗い流した時

『わっせわっせ』
『ヒール草なのです!』
『まだ来るです!』
『束ねて入れるですか?』
『布の袋入れるですか?』
ヒール草の第一弾が届いた

『まあ、いいタイミングね。ありがとう。そうね~袋に入れましょうか』

『『『『『はいなのです!』』』』』
『袋開けるです!』シャッ
『ヒール草入れるです!』ササッ
『袋閉めるです!』キュッ
家妖精がササッと用意した巾着にヒール草を入れて

『揉むです?』
『そのままです?』

『ん~今回はそのままでお願い』
徐々に濃くしていった方が安全でしょう

『『はいです!』』
『足の方にに入れるです』
『そっとなのです』
『きっと筋肉痛もあるです』
『きっとお風呂が効くです』
『早く良くなってです』
家妖精たちも一生懸命お世話してくれている

それにしても⋯


その頃、庭では
『ヒール草、こんなものか?マナ草は様子を見てと言ったからな。少し摘んで保存袋に入れておくか』

『『『はいです!』』』
『『『保存袋なのです!』』』

『おお、ありがとう。やはり気が利くな』

『『『ありがとうなのです!』』』
『『『がんばるです!』』』

『ふふふ』
頼もしいな。

それにしても⋯


『なぜ神は不完全のまま』

『この子をここに呼んだのかしら?』

『『問い詰めてやらないと!』』


離れた場所で二人、同じことを思っていた。

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