オレは魔王。
ポンコツ女神と協力して、この世界の均衡を保つため、異世界から召喚された勇者に三十五回討伐され、三十六回の復活を体験していた。
ただ、毎回毎度、行き着く先はテンプレ展開になってしまうので「刺激が欲しい」と女神にオレはお願いしてみた。
そして、今、世界の危機を救うため、めっちゃやる気になってる敵意むき出しの三十六人目の勇者と対決……しようとしたら、いきなり、異世界召喚の魔法陣が発動した。
魔法陣の光が消えた後、オレは見知らぬ部屋にいた。そして、やけにキラキラ眩しい王太子が現れ、オレの手を握り「どうか、どうか……勇者様のお力をもって、この世界を魔王の手から救ってください」とオレに向かって言った。
いや、いや、いや。オレが魔王だけど? オレの勇者はどこに行った? っていうか、魔王のオレが異世界に召喚されてしまった……。
オレが消えたことで、元の世界の危機はどうなるんだ? しかも、こっちの世界は、それほど困っているようには見えない……。
思い込みの激しい王太子に一目ぼれされ、ぐいぐい迫られ、あんあんと啼かされ、流されてしまう日々。オレはこの先どうなっちゃうんだろうか……。
魔王なんだけど、実は、一番、真面目で常識があって、世界のことを考えている魔王様。死ぬことなく、討伐、復活を繰り返し、周囲の者たちとの別離に、人と深くかかわるのが嫌になり始めたころ、ぐいぐい迫ってくるちょっと残念な王太子に振り回されるお話です。
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