時栄高校に通う一年生、備前章保助、彼には一人の恋人がいた。
幼馴染、親同士の付き合いのある彼女の名は上奏寺桜。
互いを保助、桜と呼び合う仲の二人は誰が見ても仲睦まじいもの。
二人の仲を疑う人は、ただの一人もいなかったのだが。
「僕と桜は、付き合っていない」
『公認カップル』とまで呼ばれる二人、けれども二人の交際は全てが嘘だった。
自分を守るため、家族を守るためについた嘘。
嘘な関係は、いくら取り繕っても解れてしまうのか。
「本当は、保助君と付き合いたかった」
保助に出来た隙間を縫うように穴を埋める女性、楓園美結。
もう一つの『公認カップル』と呼ばれていたはずの彼女が、保助に近づく。
その優しさに保助は癒され、絆される。
「嘘でもいいから側にいたい」
心の底から保助の事を愛していた桜は、美結の存在を知り一人焦る。
彼女が頼ったのは羽生田護という、美結の彼氏。
普段から保助に近い護なら安心して相談できる、そう思っていたのに。
「だったら、俺が桜さんを貰ってもいいか」
桜の思惑とは違い、護は保助と密会する美結に対して不満感を募らせていた。
一切の嘘がない桜に対して、護は恋心を抱いてしまう。
そして彼は桜へと告白し、保助から彼女を奪おうとする。
様々な思惑が渦巻く中、桜は一人、保助へと思いを馳せる。
他の全てを投げうってでも、これまでを払拭してみせると。
そして保助は、唯一の癒しである美結の本当の目的を知る。
保助は愛した人を追い続けるのか、それとも。
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