この世界では、18の歳になると、創造神・ミーネより皆に魔力が授けられる。
捨て子だったハイネは教会に拾われたこともあり、どれだけ辛いことがあっても、ミーネを信奉し日々拝んできたが………
魔力付与式当日。
なぜかハイネにだけ、魔力が与えられることはなかった。日々の努力や信仰は全く報われなかったのだ。
ハイネは、大人たちの都合により、身体に『悪魔』を封印された忌み子でもあった。
そのため、
「能力を与えられなかったのは、呪われているからだ」
と決めつけられ、領主であるマルテ伯爵に街を追放されてしまう。
その夜、山で魔物に襲われ死にかけるハイネ。
そのとき、『悪魔』を封印していた首輪が切れ、身体に眠る力が目覚めた。
実は、封印されていたのは悪魔ではなく、別世界を司る女神だったのだ。
今は、ハイネと完全に同化していると言う。
ハイネはその女神の力を使い、この世には本来存在しない魔法・『超越』魔法で窮地を切り抜ける。
さらに、この『超越』魔法の規格外っぷりは恐ろしく……
戦闘で並外れた魔法を発動できるのはもちろん、生産面でも、この世の常識を飛び越えたアイテムを量産できるのだ。
この力を使い、まずは小さな村を悪徳代官たちから救うハイネ。
本人は気づくよしもない。
それが、元底辺聖職者の一大両者は成り上がる第一歩だとは。
◇
一方、そんなハイネを追放した街では……。
領主であるマルテ伯爵が、窮地に追い込まれていた。
彼は、ハイネを『呪われた底辺聖職者』と厄介者扱いしていたが、実はそのハイネの作る護符により街は魔物の侵略を免れていたのだ。
また、マルテ伯爵の娘は、ハイネに密かな思いを寄せており……
父に愛想を尽かし、家を出奔し、ハイネを探す旅に出てしまう。
そうして、民や娘からの信頼を失い続けた伯爵は、人生崩壊の一途を辿るのであった。
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