されど美しき僕らのセカイ (外部サイトで読む

蒼風

□作品紹介□
 むかしむかしってほどじゃない、ほんのちょっと前。あるところに一人の女の子がいたんだ。

 彼女は優しくて、賢くて、強い子だったけど、ひとつだけ大きな問題があった。そのお陰で、彼女にはずっと、友達といえる友達がいなかった。


 ある日のことだった。隣の家の前に、一人の男の子が立ちつくしていた。いつもは見かけないから、多分、お父さんお母さんが家にいなかったか、鍵を忘れちゃったか、あるいはその両方なんだと思う。

 迷った。話しかけてどうするんだ、とも思った。そんなことをしたってどうせ、とも思った。

 それでも、彼女は話しかけた。手を差し伸べた。少年は今にも泣きそうな顔を必死に崩さないようにする。きっと相当心細かったんだろう。話しかけてよかった、そう思った。

 それから彼女には一人の友達が出来た。なんの問題も起きない、幸せな関係。だけど、そんな時間はすぐに音を立てて壊れていった。


 むかしむかしってほどじゃない、ほんのちょっと前。あるところに一人の女の子がいたんだ。
 彼女は優しくて、賢くて、強い子だったけど、ひとつだけ大きな問題があった。そのお陰で、彼女にはずっと、友達といえる友達がいなかった。

 だけど、そんなひとりぼっちの時も過ぎて、彼女は今、ちょっとだけ人とは違う、けれど大半はごく普通の人生を送っている。あの日のことは忘れて。これからもずっと。そのはずだった。


 ある日、誰かが言ったんだ。世界を変えるのは意思の力だって。

 これは、そんな意思の力で、どこにでも広がっている醜いセカイが、美しくなる。そんな御伽噺。

(最終更新日:2020/02/10)

  • 重要なフレーズ

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