病室からほとんど出ないまま、一生を終え、生まれ変わったのは前世でプレイしたゲーム『百花真愛』の世界だった。
だが、記憶がよみがえった瞬間、翠珠はとんでもないことを思い出す。
この国、あと数年で滅びるよね?
そして、そのタイミングで私、死んでるよね?
おまけに、一応お妃様だったけど、皇帝には愛されてなかったよね?
というか、一度もお渡りなかったよね???
その一方、皇帝はちゃっかり『真実の愛』とやらを見つけ、国を再建してハッピーエンドを迎えるのである。
――真実の愛?そんなの知るか!一度もお渡りないまま死んだなんて冗談じゃない!国が亡びる前に、後宮から脱出させていただきます。
幸い、まだゲームは始まっていない。
皇太后の針子という立場なら、いくらでも逃げようがある。
運に助けられ、後宮から逃げ出すチャンスを掴むものの、あえなく脱出失敗。
あれよあれよと妃の地位に上り詰め、気が付いた時には逃げられなくなっていた!
こうなったら、国の滅亡を回避しよう。生き残るにはそれしかない!
かくて翠珠の戦いは始まったのだった。
国が亡びるまであと、二年。
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