高校三年生のケントはある日帰宅しようと教室の扉を開けた。しかし、そこにあるはずの廊下は無く異世界の城に繋がっていた。異世界人のみに与えられる「紋章」の力を求めたプラトン王国の聖女が異世界勇者召喚の儀式を行ったからだ。
その儀式に巻き込まれたケントにも例に漏れず「紋章」の力が発現する。
「剛力紋」や「魔導紋」などの様々な「紋章」の力がクラスの皆に発現するが、ケントに現れた「紋章」は王国の学者も知らないものだった。しかし、その後に行われたステータスチェックを行うと同時にケントは捕らえられてしまう。
ケントが戸惑っていると、目隠しをされて外に連れ出される。着いた場所は森の中。そして連れ出した騎士はケントに言った。
ケントの「紋章」は、「弱体紋」という「紋章」で戦えば戦うほど弱くなっていくという「紋章」であると。
ケントは役に立たないとされ、魔の森と呼ばれる森に棄てられたのだった。
剣を与えられたものの行くあてもなく、魔の森を彷徨っていたケントに叫び声が聞こえた。駆けつけると、一人の少女が魔物に襲われている。ケントは堪らず庇い、少女を逃がし魔物と戦い、難なく勝利するが、その時に体が重くなったように感じ「紋章」の効果に戦慄する。
魔物と戦ったことにより、周囲の魔物に気付かれ数々の魔物に襲われてしまう。重くなり、傷付いた身体で潜むケントは近づく足音を聞いた。魔物に襲われて死ぬと思ったケントの前に現れたのは、先程庇った少女であった。
その獣人の少女に案内されて、ぽつんと佇む一軒の家に辿り着く。その家に住むのは彼女と一人の老エルフだった。その老エルフはケントの「弱体紋」を見てこう語る。その「紋章」は最強の「紋章」であると……
これは虐げられた少年が、比類なき力を手に入れて旅をするおはなし。
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