「サラとの婚約を破棄する。と記されております」
それはサラ・オルファ・リンデンガルドの元へ訪れてきたグレコ・ハイ・ウーマンダー皇太子の遣いの言葉だった。そして遣いの者はこう続けた。
「あなたには追って処罰が言い渡されます」
しかし、サラはこの処罰の内容を既に知っていた。
それは死刑……サラは翌日、絞首刑となり首を吊られる運命。サラが転生者だった故に知っていた未来。
実はサラは七歳の時に前世の記憶を取り戻していた。気付くと前世で読んだ小説と同じ状況。その小説によると、サラはグレコと婚約をするものの、とある陰謀により十八歳の時に内通者として嫌疑をかけられる。そして婚約破棄をされ死刑となるのである。記憶を取り戻して以来、そんな未来を避けようとするが、世界はサラの死を変える気はないかの如く全ては順調に進んでしまうのだった。
そして婚約が破棄された翌日、絞首台の上に立つサラの首に縄がかけられた。しかし、サラは既にこうなることを受け入れていた。小説に書かれている内容を変えることなど出来ないことは今まででのことでわかっていたから。
ただし、世界にはたった一つだけ知らなかったことがある。それはサラが前世では『最強』を初め様々な二つ名が与えられる程の人物だったということである……
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