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秀吉の死9

 高虎は行軍の中で走り回っていた。この軍も元々秀吉の軍なのだ。だがら秀頼を頭と仰いでいる。だが家康には秀頼は担ぐべき大将ではないのだ。だがこの武将達はそうもいかない。高虎は唯一考え方が違うのだ。三成が伏見を攻撃し兵をあげたと報告があり武将間で不安が募っている。だが家康は動かない。
 狗は家康の陣にもう半日潜っている。やはり頭巾を被った天海が入ってきた。家康の側には宗矩が控えている。天海の後ろには京之助がいる。狗の傍に鼠が近づいてくる。やはりずっと追いかけていたのだ。
「遂にはめられた、いやはめさせたと言うべきかの。だがここでここの武闘派を纏められるかが勝負ですのう?」
「その通りだ」
「だがここで秀忠の軍を出す分けにはいかんな?」
 高虎から聞いていたがやはり挟み撃ちを警戒して秀忠の軍を江戸に残してきている。彼の話ではどこかで合流するとのことだった。だがここではないと天海が言っている。
「会津は討って出てくることはない。あくまでも守りの態を取るだろうな。反転しても追っては来ないですぞ」
「やはりここは一芝居打つしかないか」
 高虎がこの一芝居で動いていたようだ。人質を取られた武将を奮い立たせるのか。
「次は関が原ですぞ。すでに陣形は調べてこの地図に記した。小早川は?」
「すでに手を打っております。ちょうど頃合いになったかと?」
 後ろから宗矩が答える。家康は立ち上がると武将の会合に向かう。恐らく段取りが整ったと言うことだろう。狗も陣幕から離れて武将達の集まりに移動する。
「どうも関ヶ原の毛利の陣形が決まっているようです」
 鼠が口を動かす。
「どうしてわかるのだ?」
「天海の地図に西軍の位置まで記されていたのです。わざと地図を広げていたのは京之助殿です」

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