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秀吉の死8

 最後の砦の前田候が病死した。家康は秀頼に上杉征伐を進言した。高虎も出陣の準備で慌ただしい。狗も高虎に付いて出陣する。
「天海が動きました」
 いつの間にか鼠が戻って来ている。恐らく夜を通して走ってきたのだろう。
「どこにいる?」
「関が原に入りました。修験者が2千ほど集まっています。天海が呼び寄せたものと思われます」
「何をしている?」
「地形を調べています」
「どうもここが最後の戦場になるようだな?」
 宗矩は盛んに小早川に接近している。前田亡きあとは毛利の動向が雌雄を決する。現在のところ三成は毛利を担ぎ出しているがどうだろうか。三成に組する武将は大谷を除いて戦いになると当てにならない。
「関が原には5人ほど残してきました。地形の要所は書き留めてきています」
 鼠は絵の得意な年寄りを連れて行ったのだ。
「鼠は小早川のところに潜るのだ。とくに柳生とのやり取りに注意するのだ。すでに入れているくノ一は揚羽らしい腰元がいると言うことだ」
 鼠が出て行った後、蝙蝠が入ってきた。
「三成が各方面に書面を送っています。やはり上杉と挟み撃ちを考えているようです。まずは伏見城を攻めるようです。何か手を打ちますか?」
「家康は読み込み済みだろう。三成に組する武将を絞り込むのだ。それとの動きを調べてくれ?」
 昔から官兵衛は家康と組んでいるが、互いに目的が違うように思えるのだ。狗はこの関ヶ原の戦いを予想している。これは天海と官兵衛の知恵比べでもある。
「蝙蝠の手のものは?」
「官兵衛に1人、三成に5人当てています」
「少なすぎるな?」
 高虎の禄では秀長の時のようにはいかない。

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