秀吉の死7
三成と家康の攻防が始まっている。三成は官吏として政権を握っているが家康は最終的には戦いになると踏んでいる。盛んに三成を追い詰めている。三成が武闘派と揉め続けるうちに戦う道しか残されていない。
「狗入れ」
高虎に呼ばれて部屋に入る。
「上杉征伐で何かが起こるな?」
「恐らく。これは三成が茶々を使って上杉に家康を向かわせてその後ろを攻めようと言う腹です。上杉とは三成が盛んに文を交わしています」
「そうだな?だが武闘派はそれをわかっていないのだ」
「家康殿は反転を考えておられます。すでに江戸城に秀忠殿が大軍を集めています」
これは京之助から得た情報だ。京之助はまた江戸から向かってきている天海を迎えに行っているのだ。彼が出てくるとは重要なことが起ころうとしているのだ。
「高虎殿はこの戦いはもちろん家康殿に付かれるのですか?」
「ああ、だが外様で生き抜くのは難しいようだな」
高虎も分かっているようだ。だが選択は家康しかないのだ。今回は戦略として秀吉の武闘派を上手く抱き込んだが、もし家康が天下を取ったら今度は彼らが邪魔になる。その中に高虎はどうしても入ってしまう。この道を高虎も探している。それで狗も動いているのだ。
そのためには天海の今回の策を探らなければならない。だが高虎は天海をあまりにも知らなすぎる。明智光秀の生まれ変わりと言っても笑っているだけだ。だが天海の動きに注目している。それで京之助には鼠を付けさせた。恐らく京之助は鼠の尾行を許すだろう。三成には蝙蝠を付けている。