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秀吉の死6

 三成は5奉行を集めて茶々を抱き込んで家康と対抗した。家康の周りには武闘派が集まっている。秀保はかなり遅れて戻って来て城に籠っている。大坂城にはもっぱら高虎が代理人で控えている。それでも今は三成が前田候を家康の対抗で据えている。高虎は武闘派を取りまとめて家康と引き合わせている。とくに寧々が家康を高く評価しているようだ。
 狗は高虎の側近として武闘派の繋ぎをしている。加藤清正のところで宗矩の代理できた京之助に会った。それから久しぶりに飲もうと言うことになって町屋の酒屋に入る。
「三成は毛利を抱き込んだ。三成は5奉行を持って豊臣政権を維持しようとしている。だが彼らにはその力はない。秀吉の作ったものを食いつぶしていくだけだ。だがもう秀吉はいない。天下は統一はされていないのだ」
「再び戦乱の世に戻るのですか?」
「そうならないように思っている。狗は嫌だろうが家康殿しかいないのだ」
「残念ながらそうでしょうね?」
「高虎殿は家康殿の賛成者だがちょっと他の武将たちと違うように思うのだ。どちらかと言うと家康殿に似ておられます。だがもう下克上でもないので今のやり方しかないのでしょう」
「でも私は宗矩殿のようなことはできません」
「もちろんだ。だが狗なりの仕え方があろう」
「道場に帰られないのですか?」
「まだ離してもらえぬ。宗矩殿はこの先天下を2分する戦いがあると思われている」
「やはり」
 これは高虎も同じことを考えている。それで蝙蝠を三成に鼠を黒田の息子に付けている。今のところ柳生や服部と戦うことはない。狐から薬草園と大坂城下に薬屋を置いたと報告を受けている。ここに下忍5人と年寄り3人、くノ一を5人置いている。
「狗、服部には気を付けるのだ。徳川の裏舞台も一枚岩ではない。柳生と服部も裏では戦っている。すでに双方が数十人は失っている。怖い世界だ」

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