秀長1
秀長から呼び出しがありまだ普請中の大阪城に入った。この頃は今の大きさはまだない。秀長の居間に通されると長老の横に一人座っている。
「こちらは千利休殿だ」
と秀長から紹介される。今は秀長、黒田、千利休が秀吉の仕事を担っている。この頃はすでに秀吉は茶々に手を出している。
「そろり殿の手のものですか?」
いつの間にか長老はそろりと呼ばれている。
「いや、この狗が頭だ。若いであろう」
「それはそれは」
「ところで今回軍師が秀吉殿の母上を徳川殿に送って和解を取り付けたがどう思う?」
これは宗矩と天海が絡んでいる。のっぺりから報告を受けている。天海は北条との婚姻関係に成功して浜松に戻っている。
「いつまでも冷戦とはいかないですし、でも家康の野望は冷めたわけではないと思います。天海は待つと言う作戦を勧めたようです」
「だが家康の方が歳が上だと思いますが?」
千利休が柔らく言う。
「次は茶々殿に仕掛けられたと思います」
「そのことだ。寧々殿からもよく目をつけるようにと言われておる。兄は女には目がないのだ。それで狗に見張ってほしいのだ。それに家康もこちらに来る」
すでに今回は狐を茶々の元に秀長の命で付けた。それに浜松の下忍2人の他隠れ家からも下忍を3人連れてきている。利休が席を外すと、
「軍師だけでなく利休のも目をつけてくれ」
秀長は視野が広い。
さっそく城を出ると夜に茶々の部屋に潜る。天井裏に入ると狐が黒装束で上がってくる。
「どうだ?」
「胡蝶は巫女として3日に一度茶々の元に来る。子供を3人連れているがみな式神よ。それに秀吉殿は暇を見れば訪ねて来るが茶々は避けているようだわ。狗はどこに?」
「しばらく秀長殿の部屋付き侍に」