第8話 悪魔の囁き
新海が話してる言葉に、僕の耳は釘付けになってしまっていた
新海「俺の目的は、お前を1年間で東大合格に導く。お前にとっては、念願の東大合格という成果を得ることになる」
鈴木「東大合格に導いてくれるのはすごいありがたい事なんですが、僕には、そんな指導してもらうためのお金なんてないですし、払えないですし」
新海「金なんていらねえよ。ただし、お前は東大再受験のこの1年間、俺のいう事を聞いていればいいだけ」
鈴木「なんで、この僕に無償でそこまでしてくれようとするんですか?」
僕は、新海が無償でここまでしてくれようとすることに対して、大きな疑念が浮かんでいた。
その疑問に答えるかのように、新海は1枚のチラシを見せてきた。
そのチラシに書いてあった内容は
1年前僕を東大合格に導けなかった、当時の東大テンダー計画東大合格者10人プロジェクトの元指導者、八木教授の名前が見えた。
その名前を見た瞬間、僕の中で抑え込んでいた感情が爆発しそうになった。
この人についていったせいで・・・
この人に裏切られたから・・・
新海「むかつくだろ。お前みたいな落ちこぼれを生み出してなお、こんな詐欺塾を開こうとしてんだぜ。」
鈴木「この人のせいで・・・」
新海「俺の目的は、こいつの最後のプライドの翼を完全にへし折る事。失敗作のお前を東大合格に導いてな。」
鈴木「この人に裏切られたから・・・」
新海「な。お互いにメリットのある話だろ?」
鈴木「はい。僕はこの人を。僕を失敗作に導いたこの人を、完全に敗北させて、潰したいです」
僕の中の抑え込んでいた感情は
本当の感情は
罪悪感ではなく
僕を成功に導けなかった
憎しみのなのかもしれない
その抑え込んでいた僕の感情が
憎しみの感情が
新たなる指導者の手により
弾けだしてしまった
新海「さあ。お前はロボットだ。最短で東大合格に導いてやるよ」
新たなる指導者の悪魔の囁きに
蓋をされていた憎しみの感情があふれ出し
憎しみを抑え込むブレーキは無くなった
ただ一つ残ったのは
僕はロボット。八木を潰す。
という気持ちだけであった。
つづく