光秀8
朝から狐の客として料亭に入った。布団に潜り2度も果てた。
「果心はどうだ?」
「時々虚無僧姿で出歩いている」
「まだ本格的に光秀の中に入らないようだな?」
「でも宗矩の会談では光秀の中に入ると思う。これは家老に聞いたのだけど、光秀の坂本城に5百艇の鉄砲を運び込んだようよ。これも弾正の財宝を使ったと言っていた」
いよいよ動くか?鼠の合図が入る。天井裏から鼠の傍に行く。周りの下忍が2人眠らされている。
「今光秀が入りました」
覗くと上座に光秀が座り下座に宗矩が座っている。
「で答えは?」
「家康殿は焦り過ぎだと言っている。いくら亡き者にしても部下の反撃は食い止めれないとの判断だ。柴田、秀吉の軍勢を食い止めれるか?」
「だから家康殿の力が欲しいのだ」
「もし徳川が動いたら北条が攻め込んでくる」
「だから消極的な参戦と言うわけだな?」
それで今回は疑いを避けるために僅か百しか連れてこないのだ。だが忍者で守りは固めている。
「それに安土は落とせない」
「信長殿は接待を終えたら本能寺に向かわれる」
しばらく沈黙が続く。狗は光秀の表情を見ていてはっとした。白目になっている。宗矩も刀に手をかけた。
「光秀が破れたら儂と組もう」
「果心居士か?」
「なぜか光秀は焦っている」
「家康殿は果心を当てにされている」
「万が一の時は手のものを貸してもらいたい。あの揚羽を送る」
「分かり申した」