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陰謀11

 順慶には宗矩の手を伝え兄の城主を預けた。すぐに順慶は抜け道の拡大と城の奪還に着手した。だがそれは弾正の謀反の日だ。そのため大和に送る兵は農夫を半分交えたものにするようだ。本願寺の兵が京に進撃した。またしても今回は六角が京に3千の兵を入れた。毛利は秀吉と激戦をしている。明智は秀吉の応援に播州に出た。
 弾正が動いたと言う繋ぎが狐から狗の元に入った。弾正自身が5千の兵を連れて京に上る。鼠を筒井に走らせる。鼠の足なら服部より早い情報を送れるはずだ。順慶は2千の兵を抜け道に入れて徳川の援軍より早く出城を奪還する。それに秀吉に兄の応援の報告を済ませている。今は明智の上に秀吉がいる。徳川も動かない。
 狗は蝙蝠を連れて弾正の軍に紛れている。信長の京の兵は完全に制圧される。明智が京にいないとなると近畿は俄然手薄になるのだ。光秀からその情報が弾正に入ったのだろう。再び弾正の京屋敷に弾正が入った。すぐに屋敷に忍び込む。不思議なことに弾正の忍者ではなく服部が天井裏にいる。
 昔の居間に弾正が座っている。黒装束の揚羽が前に控えている。
「どうだ?」
「胡蝶が修験者を連れて峠に」
「信長は?」
「5千を率いて京に向かっています。今それ以上集めるのは無理かと」
 四方で戦っている信長が直接動かせる兵はこの辺りだ。ここに光秀が動けば6千、徳川が駆けつければ8千と言うことになるが動かない。弾正はここを見ている。やはり3者が微妙に連携している。
「峠の正面には5千の本願寺の兵がいます。山からは胡蝶が3千の修験者で攻撃します」
「よし、上手くはまった」
「でもいつまでも京を制圧できないのでは?」
 揚羽が心配している。
「旗を揚げたら光秀が京に戻ってくる。毛利が秀吉を破る。今回は徳川は手を出さぬ。どこから救援の兵が来る?」
 あとは信長の運だろう。


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