反逆10
狗は鼠を繋ぎに使って弾正の京屋敷にいる狐を夜中に厠に呼び出した。指定した刻限に狐は尻を捲って用を足す。屋根裏から思ったより立派な狐の尻を見て黒装束のまま後ろから飛び降りて差し込む。
「久しぶりよ」
しばらくぶりだ。突き出した膣が濡れている。
「先ほどまで弾正が揚羽を抱いていた。私は見ていてたまらなくなった」
「揚羽はずっと弾正の傍にいたのだな?」
「大和から来た小姓として仕えている。これから明智に手紙を届ける」
「やはり明智か?」
「揚羽の足なら鼠は負けないわ。付けるように言っている。信長との和解交渉を依頼したようだわ」
「もう和解なのか?」
「名前は言わなかったけど東の武将が亡くなったようだわ。どうもあてにしていたようなの」
珍しく狐が喘いでいる。
「でも不思議なことがある」
「不思議なこと?」
「弾正が揚羽を抱くとき弾正ではない声が聞こえてくるの」
「弾正の声でない?」
「それがキーキーと言う骨が軋むような音なの。揚羽は分かっているようだった」
狗は果てると天井裏に戻る。大屋根から手裏剣が飛んでくる。これは雇っている柘植の忍者だ。狗は躱すと屋根にぶら下がった。柘植の忍者が飛び降りてくる。狗は覗き込んだ忍者を引き摺り下ろす。
狐の話を聞いていて弾正を覗いて見たかったのだ。柘植の黒装束に変えて再び屋敷の中に入る。