反逆7
やはり夜に京之助が京の織田屋敷に来た。同時に隣の屋敷に柳生が5人入った。天井裏から京之助の姿が見えている。正式に筒井の紋を着ている。書状を織田の代官に見せている。
「はやりな」
「どうされますか?」
「織田の中も難しいのだ。弾正には明智殿が後ろ盾にいる。迂闊に訴えたら首が危ない。殿も弾正が気に入っておられる」
「明らかに謀反が明確になったら筒井が逃げ道を作りますが?」
どうも早馬で順慶の指示を取り付けたようだ。
「ただ10人ほどが限界ですが?」
「ありがたい」
「これより私が織田の代官の家来としてお傍に着きます」
「だが謀反の証拠が分かるのか?」
「はい。伏見屋敷から鉄砲が送られてきます。私の手のものが知らせてきております。連絡があれば柳生の手のものが30人裏街道をお守りします」
それほどの人数を手配したのか?これは本家の柳生が動いている。狗は天井裏を抜けると隣の屋敷に忍び込む。情けないことに狗の下忍がすべて柱に縛られている。それを確認するとまた織田屋敷の床に潜る。後は待つだけだ。気配を消して猿を見張っている。
「伏見屋敷を鉄砲が出ています。すでに京之助さまには伝えました」
足の速い鼠だ。
「すでに織田の代官は逃げたかと?」
「鼠は今から生き返るのだ。隣の屋敷の下忍たちに洞窟に戻るように伝えよ。私はしばらく死んだことにしておくのだ」