反逆1
弾正は京にいることが多くなった。昔の三好の館に入っている。順慶から京之助の応援に京に入ってくれと言う要請があった。それで揚羽を京の色町に送ることにした。彼女は全く揚羽としての素振りを見せることはない。だが別のくノ一を弾正の屋敷の女中にいれた。年寄りも彼女の繋ぎで入れている。それと揚羽には鼠を張り付かせた。
狗は遅れて下忍を2人商人姿で連れて近くの旅籠に入った。猿には洞窟の年寄りを張り付けている。彼も揚羽の引き込み以外はとくに動きがない。
「3月ぶりですね?ずっと京にいるのですか?」
待ち合わせの居酒屋だ。京之助は浪人の格好だ。
「弾正の動きが怪しい。それで内偵をしている。彼の屋敷には2千の兵がいる。それだけじゃなく大和周辺からさらに1千の兵を伏見に集めている」
京之助は纏めた手控えを狗に見せる。
「最近は堺の商人に紹介してもらって秀吉とも会っている」
「秀吉は弾正びいきでは?」
「それが彼も最近は動きを警戒している。今は弾正は明智光秀と親しい。どうも昔からの縁があるようだ」
「赤松と密会しているようですね?」
赤松は昔は敵対していたはずだだが?
「前回密会を張っていたら赤松の甲賀に襲われて下忍を2人失った。甲賀は集団戦法だ。気を付けることだ。とにかく密会を探ってくれ?」
京之助と別れてさっそく始めて弾正の屋敷に潜った。天井裏に入ると下忍が守っている。それで隣室に潜んだ。ここにも侍が控えていたが眠らせた。覗くと弾正が呆けたような顔で座っている。寝ているのか?生気が感じられない。果心居士と弾正の関係はどうなのだろう?
「夜に赤松の繋ぎが来ますが?」
見たことがある家老が部屋を覗く。ゆっくり目が開いて、
「誰が来る?」
「甲賀の頭が手紙を持ってくると?」
「やっと決心したのか?」
だがまだ惰性でしゃべっているような感じだ。