秘密9
山城にはすでに年寄りを送っている。この年寄りの段取りでくノ一は城に上がるようになっている。下忍は城の兵に化けてくノ一の調査の繋ぎをする。だが城の再普請はすでにあらかたこの年寄りが行っている。新たな普請があるかと揚羽の報告を試そうと言うのだ。狗は下忍とともに城に入ったことになっているが別行動をとっている。これも年寄りの調査を参考に修験者の場所を想定している。これは順慶から貰った百地の探索結果も入っている。
描かれた地図の崖道を上ると百地の忍者が3人殺されたと言う岩山に出る。ここは山城の城から3刻登ったところだ。ここは岩山が多い。狗は漁師の格好で鉄砲を背負っている。1刻岩の上で周りを凝らしていると微かに煙が見えた。その煙の近くまで来て洞窟で一夜を明かした。多数の人の気配がしたからだ。
明け方岩場の下までたどり着いた。ここには修験者の見張りが5人ほどたっている。
「頭領が来られている。見張りを厳重にと言うことだ」
修験者の一人が話している。頭領がいるのだ。狗は持ってきた修験者の衣装に変わる。岩場の反対側から崖を上る。至る所に小屋が作られている。この高さまで上がらないと見えない。この数なら千人はいるようだ。ここに修験場があると言う報告はない。それに小屋もそれほど古くない。進めば進むほど小屋の数が増えてくる。とくに大きな小屋に潜んだ。この周りには50人ほどが集まっている。
狗は気配を消して小屋の裏から潜る。ここは祭壇裏になるようだ。小屋の中には10人ほどがいるようだ。狗の前に白髪の修験者の背中が見える。これが頭領だろうか。
「胡蝶元気だったか?」
と言われたのは前に座っている狐と同じくらいの巫女だ。
「私の出番はまだですか?」
「そろそろ山を下りるか?」
「はい」
「子供は何人に?」
「50人はいますが使えるのは5人ほどです」
やはり捨て子をここで育てているのだ。
「よしその5人を連れてまいれ。式神を貼り付ける」
式神?
「それが済んだら儂と大和に行く」
やはりこの修験者が弾正と係わりがある。