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秘密4

 未明に狗は忍者屋敷を出て城に潜る。
「遅いね?寝てしまいそうだった」
 狐が布団から顔を出す。周りの女中にはすべて眠り薬をかかせている。布団の中ですでに狐が裸になっている。
「鼠が来ているようね?」
「聞いたか?」
「ええ、繋ぎを入れて来たわ」
「揚羽は知っているか?」
「ええ、弾正に抱かれている一人よ」
「抜け忍にまだ密偵がいるようだ。獅子の部下だったのはもういないはずだが?」
 狗のものが狐を貫いている。もし狐がその気なら膣を締め付けて首を一突きだ。
「一度極秘の偽の情報を流してみたら?案外狗の信頼の厚い下忍かもよ?それと天守閣の隠し部屋だけどやはりあったわ」
「入ったのか?」
「ここには下忍が張り付いている。天守閣の担当の女中が話していたわ。どうもその部屋に人がいるようなの」
「弾正以外に?」
「弾正がいない時も人がいるようだと言っていたわ。それと私も明け方に天守閣に大きな黒い鳥が舞い降りるのを見たわ。それと弾正の忍者は4姉妹がいるって言っていたけど、どうも兄姉妹ではないようだわ。5人とも捨て子で弾正が連れていたと言うのよ」
「誰が言っていた?」
「ここで一番古い女中頭。弾正が三好の時から付いてきた大年増。彼女が言うのにはある日獣が付いたように弾正が変わったと言っていたわ」
「謎の男だな?」
 狐が足で体を締め付けてくる。普通の人間なら背骨を折られそうだ。これで気を行かせているのだ。白目を剥いている。もちろんくノ一の仕事では白目を剥くことはない。
「狗、揚羽には気を付けるのよ。彼奴は素顔を見せたことがないとの噂よ。城で見た時もいつも別人よ」

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