聖女試験の真実
「本当は聖女になる人物は既に決まっているんですよ」
「じゃあ何故、試験なんてやるんですか?」
「簡単ですよ、公平を期す為です。前の聖女試験の時に色々やらかして大変な事になってしまったみたいです」
「・・・・・・貴族て馬鹿ですよねぇ」
やらかした、という一言で何があったかは察した。
出世とか名誉とか我が家には全く関係無い話なので別次元の話だと思っていた。
「今更ですけどそんな裏事情を私に話して良いんですか?」
「貴女なら話しても良い、と思いましたんで」
ニッコリと笑うエネラルさんの笑顔が数分前の印象とは全く違って見えた。
それから1か月後、私は王都に来ていた。
勿論、聖女試験を受ける為だ。
と、言っても直ぐに辞退はするけど。
だから、手荷物は持ってきていない。
他の令嬢は豪華なドレスを着て荷物をメイドに持たしている。
私はドレスなんて無いから私服のワンピースだ。
別に着飾る必要は無いしね。
会場のドアが開いて神官が入ってきた。
説明とか試験の内容とか話していたけど興味は無いので左から右へ聞き流している。
「・・・・・・では説明はこれで終わる。一旦解散するがこの時点で辞退したい者がいれば帰っても構わないし受ける者は1時間後に戻って来る様に」
よしよし、これでお役御免だ。
私はさっさと会場を去ってお城の外へ出てきた。
「ミリアさん、お疲れ様でした」
「エネラル様、どうかされたんですか?」
「少ないですが、今回の参加費となります」
「えっ!? お金を頂けるんですか?」
「えぇ、候補に選ばれた時点で発生しているので」
「ありがとうございます。折角なのでお土産を買って帰ります」
私はそう言って袋に入ったお金をもらい城を後にした。