9話 その2
「あるにはあるんじゃが…」
ん?もう~このおじさん焦らすの上手いなー
「残念じゃ…無属性と闇属性じゃ…」
「あっ?」
あー顔が固まって無表情になった…あと暗いオーラに包まれた感じだった。
なにそれ?……無職に、引き篭もりの傷跡みたいな属性は!!
「無属性も珍しいが…人間が闇属性は珍しくてな……じゃが…」
暗い部屋で引き篭もったのがいけなかった?そうなの?ねぇー?
深呼吸して魔道師に尋ねた。
「その無属性と闇属性に関して詳しく教えて下さい……」
無属性はすべての属性に当てははまらず相性が悪くも良くもない…全て魔力の量で威力が決まるのが特徴らしい。
主に強化や周辺をエネルギーを利用する魔法が多いらしくマナ消費が無駄に激しいようで普通の魔法使いは初級しか使えない。
闇属性はどの魔法より殺害や殲滅に特化した魔法で魔人族に多く無属性より更に更にまた更にマナ消費が多い。
そのせいで魔力回路に負担が大きく人の身では操る事は危険だと言われてた。
一歩間違えれば廃人になり兼ねないからだと……。
「大変珍しくはあるが…お主の年齢じゃ魔力も弱く魔力回路ももろい…残念じゃ……気をつけて使うなら初級魔法程度は使えるじゃが…買って行くか?」
「まあ…あまり気を落とすなよ…適性があるだけでも凄いじゃん」
「ハルトさん…元気出して下さい…」
慰めようとする二人…だが心配は要らない!!
「おじさん!!無属性と闇属性の魔法本全部!!下さい!」
「お…お…わかった…じゃが…気をつけるのじゃぞ…自己責任じゃからな!」
そう!僕は生まれつき異常な程の魔力持ちでルル姉からもらったアストラルラインもある問題ない!うははは!
双子はニヤける僕を見て安心して微笑んでいた。
「まあ。無茶するんじゃ無いわよ……」
「わかってるぅー♩って」
「本当かな…」
「うふふ。絶対ですよ」
「もうー心配症だなー僕はこれからお勉強に励む!みんな!今日は解散!!また明日!!じゃなーイヤッフー♪」
そう言ってから宿まで全力疾走した。
「あれ……絶対ヤバイわよ…」
「うん…私もそう思う…」
不安な顔に変わる二人であった。
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天界創造の女神の聖地
「あら…グランデ 連絡して来たには何か掴めましね…」
ホログラムのように半透明の芸術の神が現れた。
「ご機嫌麗しゅうお過ごしでございますかな?ラグレシア」
「…幽廃されて……ご機嫌麗しゅうお過ごしがどこにあるが!!お直てる?なぁなぁ?」
長年聖地から出れない彼女はヒステリックになっていた
「…確かに……」
「ふん!焦らすで無い!はよ言え」
「わかったわかった…あの女が戻った場所から少し離れた小さい人族の村があってな…その村にはイビルゲートがある…確かナーズラと言う村だ」
「……レガリア大陸か…駒達が動きやすい場所で何よりだな…それで?」
「あの村に丁度同じ時期の現れた人の子の噂があって調べたがあれは間違いないね…名前はシムラハルト…だ」
「ほう!よくやった…!!これであやつを葬れる…ふふふ…」
「くれくれも主神に気づかれないよにな…」
「なぁに…我らは神…禁忌さえ犯さなければ何でも大丈夫であろうふふふ」
「はははは!!んじゃ…良い結果報告楽しみに待ってるぞ…主神に勘付かれと困るから失礼するよ」
話しが終わってグランデは消えた。
「……さて…始めるか…使徒ドルゥガよ」
「はっ!」
ラグレシアは手から光り作りドルゥーガという使徒に渡した
「それをカランディアの者に渡し結果を見届けよ…あとお主は妾の許可があるまで絶対手を出してはならぬ…良いな?」
「はっ!拝命承りました」
「失敗は許さないと伝え……行け」
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宿の部屋で早速、魔法本を読み始めた。
字が読めなかった僕はリリヤに教えてもらった。
復習する必要がなく頭にスラスラ入って来る感じだった…リリヤには天才とか言われた…。
僕は頭が悪い方では無いがこれほど暗記力と理解力は無かった。
「なんか凄く分かりやすい…これもルル姉のお陰だろうか?ふむふむ…おー上級無属性魔法は自分だけじゃ無く物や他人まで強化できるんだな!使ってみたくなるー♩」
その時壁から'トン'と打つかる音がした。
あっ!興奮して大声で喋ってしまった…集中し過ぎると考えた事とか口に出すのは僕の癖だ。
「すみません…静かにします」
一応、謝ってから今度は闇属性の本を読み始めた。
「へぇ…本当にえげつな魔法ばかりだな…すげ…」
魔道士に聞いた通り大量殺傷を目的とした魔法が多かった。
「魔神や闇精霊に同調……うーん?空のカナタ…?闇の空間を歪み……巨山を降り落とす??」
まさか!これって!!あの伝説の魔法メテオストライク!!
「すげーよ!あははは!すげー どれどれ…汝、全ての破滅を導く…偉大にして悍ましく…我は求む魔神の鉄槌…砕けて…滅せよ…全てな」
その時、何か隣の部屋から凄い勢いの足音と共に部屋のドアを壊れた。
双子だった…双子が突入して来た!!双子が侵入して来たぁぁぁぁ!
「な、な、何?二人共どうしたの?
「はぁはぁ…ハルトぉぉ!!」
「え?あれ?イリヤ?リリヤ?どうして?」
イリヤはすんご~く怖い顔で僕のクビを締め上げた。
「けっ!けっ!イリヤ?」
「無茶しないでって言ったよね!!あん?人の話聞いてた?何復唱始めてるのよ!死にたいの?死んでみる?死なせてあげようか?」
「死ぬ死ぬ…けっけ…悪かった…イリヤ…」
イリヤの腕をトントン叩きギブアップサインをした…だが、異世界人には伝わらない!くっ苦しい!
「お姉ちゃん…まだ生きってるようですが…力弱めてません?」
ち、ちょっと…リリヤさん?
リリヤは氷のように冷たく凄く怖い顔で僕を見ていた。
「ご…ごめんな…なさ…」
あー意識が…空から……闇の魔神がよんでるーわーい♩
心配になった二人は僕の隣の部屋を借りてずっと監視してたらしく…。
意識を取り戻してから二人に長々と説教されて、初級本以外没収された。
次の日、冒険者ギルドで双子と集合してイビルゲートに潜る準備をした。
「もう…イリヤ…ちょっと見てよ…クビにアザできてるよ!」
「じ、じ、自業自得だわ!」
少し申し訳ないような表情だったから…許した。
「ふふふ…気になるならスカーフで隠します?ウフフフ」
氷のような笑顔でスカーフをクビに掛けようとするリリヤ。
絞め殺される!!
「いや…遠慮しておきます…」
リリヤ…怒るとまじ怖いよ!そんなキャラだったの?殺気半端ねぇ…
「よう!坊主、今日も潜るのか?」
「はい、とこにぶつければいいか分からない鬱憤を魔物達に当て付けしたくね…」
すまん魔物達よ、しばらく僕の相手をしてくれ!
「ん?まあ…あと、またしばらく留守になる…」
「何かあったんですか?」
おじさんは完全武装して大きいバッグまで肩に掛けてた。
「ああ、昨日王都から離れた荒野に星振りがあってね…それを調べにな」
「…………………?」
「荒野で滅多に人は通らないから人的被害はなさそうだが…凄い騒ぎになってる…うちたげじゃなく周辺ギルドまで招集がかかった…最近色々あるね……何か不吉な予兆かな…」
「…………………」
うん…そうかそうか…それは大変だ……。
「そんじゃ行って来る…坊主も気をつけな!ほどほどにしろよ!」
「お気をつけて!行ってらっしゃいまっせ!!!」
僕は力強く完璧な90度角度で腰を曲げた!そう、記者会見でよく見るあの姿のように…。
「お、おう……?」
「い、行くよ……イリヤ、リリヤ !今日はギルドに為に超頑張るぞ!!」
「ん?なに?どうしたの?」
「別にいいですが…?」
双子は知らない…僕が復唱してた魔法が何かを…おじさん、こめん!