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ブラウニーが食べたくなるような正方形がゆっくりと近づいてくる。背後では心地の良いエンジン音。彼らはまるで引き合うように、まったく同じ速度で互いに歩み寄っていく。
当然ながら、ブラウニーに足が生えているわけはない。どっしりとした質量は確かにあるけれど、規則正しい切れ込みがあるわけでもないし、まして内部から白熱光を発することだってない。口に入れて味わうものであるから、普通は皿の上に乗せるものであって、街灯が照る道路上に平然と立っていたりしないはずだ。
エンジン音が大きくなるとさらに色々なことが分かってくる。ブラウニーでなかったものの側面には同じ長さの出っ張りがある。切れ込みとちょうど同じ位置から生えているようだ。