7話 美知とクリスマスイブデートは大変な事態になりそうです
7-1「暴走族ってよく夜中に走れるよなといつも思う」
俺はいつの間にか記憶がたまに飛ぶことを言ってなかったな。
原因は不明。誰でもあると思われることなのだと思っている。
誰だってこんな時はあるさと頭で自分を納得させていて病気かもと恐れている自分がいたことは忘れていたのだ――
俺は今特訓をしている。美知の爺さん……心条さんに「今のお主では美知を任せられないので、特訓してもらい強くなってもらうと思うのじゃ、よってお主の軽い修行を開始する。」別の話になってしまいそうな拳法の修行に最適らしい、大明理家に伝わる胴着を着せられる。
すげ~これ匂うんですけど……最後に洗濯したのはいつだ?と突っ込みたかったが、そんな言い訳っぽいことを言う前に修行させられる。
まず最初の修行は関係ないだろと思われる、広い家の雑巾がけまでやらされるというもの。
掃除は修行の一つらしい……自分が掃除したくないだけだろ。
次に木人を的にイメトレ拳法の修行。筋トレとかすっ飛ばしてますけどいいの?
爺さんが言いたいのは「映画みたいなことしたら強くなるんじゃないのかな~?と思うんじゃがの(笑)」
遊んでやがる……このジジイ…………
「とまあ~冗談は置いといて基礎トレーニングとして儂の家の外周をジョギングしてくるのじゃ」と言われたので爺さんの家の外周約1キロ×5回させられた。
意外と少ないのは慣れ始めだからか……俺は普通にこなすが次の日は回数を+3回にすると爺さんが言ってた、俺の体がどうにかなりそうだと思った。
なぜにこんなきつい特訓をサボらないかと言うと、もしサボったら。
「うちの美知に手をだしたと世間に行っちゃうぞ☆」と俺の人生を終わらせに来るこのクソ爺。
悪乗りするのは爺さんの遺伝か……美知のこの性格は嫌いじゃないが……悪乗りはやめてくれ、爺と孫とも両方悪戯好きなのだ。同じ釜の飯を食べたぐらいでまだ風呂にも入ってないしな……これからあったらラッキースケベ扱いしてもいいのだろうか……
ただし俺はロリコンではない断じてだ!よって美知の裸には興味がないセーフである。
お前とは仲の良い親友でありたいのに……
近くで見ている美知は全てを覗いているのか……少しムスッとしているように見えた。
なにが不満なんだろ……本当に年頃の女の子はわからない……。
それで俺はそのことは冗談として受け取っておいて、毎日ジョギングに基礎トレーニングの一環の
腕立て伏せ10回×3
腹筋10回×3
背筋10回×2
スクワット50回×2
シャドーボクシングのようなもの(影拳法)10分×3
をやらされた。
修行を開始して1週間が過ぎた。今日は12月23日だ……クリスマスがあと少しで迫ってる。こんなこともあろうと、美知に日頃、能力ファイトのサポートをしてもらってるから、お返しとしてクマのぬいぐるみ(税込3500円)を買ってやった。こっそり明日渡してやると思ってる。最近ここ1週間の修行はしんどい。会社の仕事はデスクワークとはいえ、俺が会社帰りにやらされていて、美知の爺さんの家で衣食住をともにしているから、食費も光熱費も浮いてるので修行に文句は言えない……
洗濯は美知担当だ、学校はどっちにしろ冬休みなので休みだそうだ……おまえろくに中学行ってないだろうに……「うん休みがち~」と不登校気味なのは否定しない美知。
それで俺は今度は美知にこんな質問をぶつけてみた。
「おまえ、前能力ファイト用の端末機の電池切れしてたとか言ってたけど、おまえは本当に能力ファイトなんかできるのか~~~?とてもそんなに強いとは思えないのだが……」
美知はついに聞いて来たかと言った顔で返答した。
「あ~よくぞそのことを聞いてくれました!わた…おれは結構強いんだぞ……条件索敵の力の応用で相手の超能力の強さの強並弱と三種類の段階で強さがわかるからな、そして一番の武器はこの拳だ!!大明理流拳法という秘伝の拳法は世界一強いと威張れるぞ!だからおれは強いんだよタケオ!おれと修行の成果の確認として能力ファイトしろよ! ランキング500位以内に入ったことのあるおれの実力を見せてやる!!」
なんと10万人以上はいるであろう能力者ファイターのなかで500位以内に入るのには
かなりの実戦での実力がないと無理であろう。今まで闘ってきたやつを後でネットで調べてみたら
シオウが10003位。
カネアツは8506位。
アマトは69650位。
しずくはたぶん顔写真も掲載されていたし。公正試合実行委員会の認証マークがランキングにあったので間違いはないので
なんと2001位だ。強い……と思ったのだが。
雪野つとむは1852位だった……あいつしずくより強かったのか……?
どう考えてもしずくのほうがヤバかったけどな。
佐藤とかいう奴は本名ではなかったのか名字だけでは出てこなかった。
などなどこれが俺の記憶するとこの能力者ファイター達のネットで見れるランキングだ。本名ではなく登録名がそれなら見れるらしい。シオウなんて偽名……というかリングネームみたいなものなのかな?しずくは本名を登録名に使ってたし。顔写真もあったから分かったけど。同姓同名はいなかったので助かった。
とにかくこんなランキング紹介をしてても今まで500位以内に入る実力だと……!?
美知が!?信じられない顔で驚いてみた!?本当に驚いているけどな。
すると美知はこんな返事をくれた。
「おれの実力疑っているなら話がはやくなるけどな、闘いたいんだよ。今お爺ちゃんが田んぼの様子見に行ってる最中にこっそりだけ……、練習でいいからさ……オネガイ!タケオ」
「とにかくお前は能力ファイトの練習がしたいんだな、わかった。練習なら付き合おう。
端末は使わなないでおけばばれないしな、お爺さんに端末をチェックされていて能力ファイトを禁止か制限されているんだろ?」
「なんで……わかったの?タケオ……もしかしてテレパシーの力に目覚めたの?」
「お前がお爺さんをかなり気にしていたからそうかなと思っただけだよ。やっぱり能力ファイト規制されているのか、危険だしなあれ」
「そんなことないよ、安全装置だってついてるのにそれでもおれの相手は試合後に脱臼したり、打撲でメディカルセンターに行ってて。それがばれたんだ……」
お爺さんが言うにはもう少し力を抑えて闘いなさいと美知も特訓しているらしい。
なので最近能力ファイトできなくてウズウズして俺の家でゲームをしてストレス発散も兼ねてると漏らす。
そういうわけで俺とこっそり組手をすることになった。
能力は使わないらしいといってもこいつの能力は戦闘向きではないけどな。
ではいざ、尋常に勝負だ!美知!
7-2「組手でも本気出しちゃうこともあるかもしれない」
俺は今、美知のお爺さんの家の閑静な広い庭にあるバトルフィールドで闘ってる。
能力ファイトではない。ただの練習の組手である。
しかし驚いた。美知は筋が良い。ボクシングのような俊敏な動きと空手の呼吸と柔道のしなやかな取っ組み合いと合気道の流れを全てのいいところを組み込んでいるいい動きをしていると俺は感じた。美知の動きは常人のそれではなかった。空手で言えば黒帯以上で10段以上あるんじゃないかと思えた。
しかしそのわりには拳に威力はない……手加減しているのだろうか。全然痛くない。
組手とはそういうものなのか。
俺は美知に聞いてみた。「全然痛くないけど、おまえ……手加減しているだろ」と聞く。
しかし美知は「そんなことななにがあるのさ……本気出したらタケオの体が壊れちゃうから無理だよ……」
どうやらやっぱり手加減しているらしい。途中で美知は練習試合を止めるように俺に言う。
瓦を持ってくるように俺に支持する。15枚もの瓦がいるとか……まさかそれを割る気か?
そのまさかで糸も容易く割りました。うっわー俺本気出せとか言わなくてよかったー。
あばら骨何本いくんだよと思いました。手加減は最近かなり上達したらしい。
組手ちゅうし、中止ですね。わかります。
ということでお茶とお菓子で休憩中になりました。この黒餡の入ったおまんじゅうは最高だな~。お茶も最高に美味い。もう俺ここの子供になりたいと思うほどここの生活に慣れ切っていた。今日は祝日で会社も休みだしな。
しかも明日は2日も休みのクリスマスイブとクリスマスか~~~。
たまにはデードでもしてやるかな~明日ぐらいにはプレゼント渡すし……。
美知は知ってか知らんがうれしそうにこっちを見てる。美知の能力って常時発動してるのかな?まあいいか……楽しければ。ちなみに今は頭に話しかけられてない。
ONOFFが最近かなり上手くなったと前聞いたから、OFFにしているのかな。
俺はお爺さんが戻る前に自主特訓を開始し始めるところだった矢先にお爺さんが戻ってきた。
「ほお~~~お主が自主的に特訓しようとしているとは……これは褒美を与えなければいけないな……そうじゃな明日は一日フリーでお前たちに自由時間を上げようじゃないか……たっぷり遊んでいいぞ」
もう完全にばれてるのか……それとも気を使ってくれたのか。テーマパークのチケットの優待券を2枚ペアで俺たちによこした。
この爺さんなかなかやるな……外堀を埋めるのがうまいと俺は感心した、もう完全に流されているな。
その日の夕食はカレーであった。トマト入りだったので俺の好みであった。
寝た。そして朝が来る……10時開演のテーマパークまで電車で30分ぐらいかかるので俺たちは9時20分くらいの少し早い時間に出た。美知は女の子らしい恰好……ではなくやはりいつもの感じで短パンに。男物のシャツを着ていて。ジャンバーを羽織ってる。なんか逆にありな気がしてきたけどな。
俺はもちろん私服だ……スーツは置いてきた。俺たちは従兄弟と言う設定にしてあるのでおまわりさんに職務質問されても平気だ。
「ねえねえ……何のろっか……やっぱり観覧車とかかな……もしくはメリーゴーランドとかかな」
「さあ、行ってみないとわからないぞ……俺昔ここの遊園地に来たこと有るけど小学生の時だから、変わってるだろうし……」
そんなことを話しているうちに
遊園地がある複合テーマパークにやってきた。
7-3「クリスマスイブにデート……邪魔者はいないよな?」
――俺たちはある程度乗り物に乗ったら、あるイベントがやってると聞いて見に来ていた。
どうやら俺たちが持ってる。端末機のN・ターミナレンのデザインの担当者が来ているらしいと、しかもその人は凄腕の能力者ファイターらしく……僕に勝ったら100万円と言う企画までやってる。
すごいイベントで闘技場のような会場だ。入場は無料である。なんとも良心的である。参加は一人一回までで10分制の時間制である。
そこでだ俺はたまには挑戦者ではなく観戦者という立ち位置になってみたいと思い。
美知とともにその開発側のデザイナーの能力者ファイターの試合を見てみることにした。
そのデザイナーの名前はパンフレットに書いてあった。
見出しが「あの有名デザイナー鳳凰丸気道(ほうおうまるきどう)が来る!!ランキング95位の高ランカーである気道が来ます!!」
「レベルは5ある最強の力を誇る。天才デザイナーだ!」
なるほどそんなに凄い人なのか……デザイナーとしても優秀であり、高ランキング保持者でもある。
しかも有名人で(俺は今まで知らなかったが)能力名のことまで書いてある。
【バースト・ドラゴンレジェント】《伝説の火炎龍》
うわ~強そうだ。名前からしてめちゃくちゃ強そうだ。しかもレベル5の能力者ファイターは日本でも60人ぐらいしかいないと言われている。
それだけレアな能力か実戦向けの能力者に認定されてると言うことだ。この人は実戦向けの超能力者だと思える能力者だとは思えるが。
美知が話しかけてきた。
「おれこのおっさん知ってるよ、お爺ちゃんの知り合いだから。生で見たこともあるし」
「おまえの爺さん……本当に何もんだよ……測定管じゃないのかよ……」
「その辺は知らない~~測定管のバイトを引き受けたとか言ってたけど……」
「バイトだったのか……それでそろそろ挑戦者との試合が始まるが……美知も見るか?」
「タケオが見るなら~~~いいよっ…それにこんな有名人の能力ファイトを無料で見れるなんて最高だしね☆」
そして試合は始まった。
対戦者はええと……てっ……どう見てもあれはしずくだよな……
何してるんだあいつは……こんなとこで会うとは。
あっ……こっち見た!目が会った…………じっとこっちを見てる。
そして何事も無かったかのように対戦の準備をしてる。
ブラッド・ソードかと思わせる。長い血の剣を作り出してる。
試合前でも自分の能力で武器を作ってもいいんだ。
相手の気道さんは余裕の表情というか真剣な顔で腕組みをしている。
そして目を瞑っている。
男にしては長い髪が風に吹かれて揺らめいている。
精神統一かな?
そして両者の準備が整ったのか。始まった試合が――
7-4「いくらなんでもやりすぎだ……絶対に……許さないぞ」
――まずしずくが動く、動いて動いて接近戦に持ち込んでる。
気道さんは動かない腕組みをしながら仁王立ちをしたままだ。
そしてしずくは一気に斬りかかる。しかしなんとその一太刀を片手で受け止められる。
あっ大画面に映し出される気道さんの体力ゲージが。5パーセント失われた。
どうやらダメージはあるらしい。そりゃ切れ味抜群なんだろうな本当なら。しかし気道は相手の血の剣をそのまま蒸発させてしまったのだ!そして今度はこっちの番だと言わんばかりの形相でしずくを睨む……真剣ですね……手を抜かないというわけか……
しずくは「ブラッド・シールド!」と叫び。距離を取る。盾のようなものを自分の血で作るかなり薄いがどうなんだろう?盾として効果あるのか?
そして気道は炎の弾を作り出して放つ。その炎は横に回転しながら進むスピンしている火の玉だ。しずくの作る盾と衝突してしまうとお互い打消しあった。そして気道がうなる。
「うんーーーーーーーーーーーーーーーー………………龍掌火」
放たれた掌からの炎は小さな火龍そのままであった。しかし意外と小さい。手のひら半分ほどしかない火龍だ。それがしずく目がけて飛んでいく。避けようとするしずくだがどうもホーミングミサイルのように自動追尾してくるタイプなのか、しずくが避けようとしても追いかけてくるその火龍が。端っこが当たる。かすった程度だが。
しずくの体力ゲージが68パーセントになる。かなりのダメージだ。
しずくは遠距離攻撃に切り替える。ブラッドアタックの連射バージョンを放つ。
しかし気道にその攻撃は届かなかった。
気道はあらかじめ、【ファイヤフィールド・アドラゴネス】《炎龍の守護結界》を使っていた。パンフレットにも書いている。炎の高熱により飛んでくる物質を溶かして攻撃から身を守る防御の守りらしい。血の塊などすぐ蒸発してしまう。
どうやらこの攻撃では無理だとわかったのかしずくは俺との闘いで見せたあの技を使用した。巨大な血のカッターナイフはそこに大きく出現した。【ブラッド・ドレイン・カッター】である。これはヤバいオーラがプンプンしている。しずくもこの技を使っている時は気迫が違う。目が血走ってる。怖い(ガクブる)
気道はまったく臆してないのに。他の観客は普通に見ている。
気道は対抗技を出した。
「うん…ぬんんんんんんんん…………
【ドラゴライ・アストロ・フレイムボルス】《天から降り注ぐ火龍の炎弾》」
天から火龍が出現したあまりにもそれは巨大すぎだ……しずくの血の巨大カッターナイフの3倍ほどの大きさであった。そしてしずくは避ける暇もなく……その火龍が放つ巨大な炎弾がしずくの体にもろに当たってしまう――
――しずくは近くのメディカルセンターに運ばれることになった。安全装置があってもかなりの大やけどを負ってしまったようだ。気道はやってしまったという顔で驚いていた。
ここまで本気になるつもりはないと観客に弁明していた。俺はしずくとそんなにかかわりがあるわけではないが……無性にあのおっさんの態度に腹の中が煮え繰り返りそうだ。
俺はキレる寸前だった。いつのまにか俺は会場の闘技場まで来ていて、「俺と能力ファイトしろ!お前を俺は許さない!!」とおっさんに言い放っていた。自分らしくなかった。俺も頭に血が昇っていたようだ。
そして「OKOK飛び入りだね。いいじゃないか……彼にやらしてみないか……」と会場のイベントの実行委員会のスタッフに耳打ちしている。俺はここでお互いの体力がなくなるまで真剣に能力ファイトすることになった。美知は「せいぜい大けがしないでね……」と心配していた。だれが大けがするかむしろ気道を病院おくりにしてやるぞ。と危ない感情を表に出していたぐらいいきりたっていた。
端末ではなく会場の巨大なパネルから電子音声が鳴り響く……
『体力制能力ファイト始めます。』
『位置について……』
『よーーーい……始め!』
始まりの時が来た。俺とこの糞野郎のおっさん……火炎龍使いの鳳凰丸気道との闘いの火蓋が切られたところであった。
Extra Stage 4
まさかこんなところに来ているとはな……タケオ……おまえの真の実力を間近でこの目に焼き付けておくとするか……我もたまには羽を伸ばそうと思っていたのだが、これは見逃せぬな……是非我と同じ力の片鱗を見せてもらおうか……タケオよ応援しているぞ
ふっ……はっはっはっはっはっはっはっはーーーーー!
観客席で不穏な何者かが高笑いを上げているのであった。