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太陽にあたれぬ男

日に当たれぬ男  ー救われぬやさしさー


 儂は、誕生した時から他の人共とは違う存在であった。2つに大きな違いがあった。第一に太陽の日の下ではいきてはゆけぬということ、第二に生命力が他の人共と比べた場合非常に強かったという二つの所である。それに気づいたのは儂の両親であった。生まれたばかりの儂を外に連れて行ったときである、儂の皮膚は太陽に光に当たると火がついたのである。勿論物理的な火である。大層儂の親は驚いたであろう。なにせ赤子を外の光に当てようという親心が、我が子を市に追いやるところだったからである。儂は全身に大火傷の重症を負ってしまったしかし、その大火傷は家の中つまり、太陽の日の当たらぬ場所に戻すとすっかり治ってしまったのである。我が両親は、大変悩み又恐れた。これは、なにか取り憑かれて生まれてきたのかと。一度儂の親は、儂を天の元に返そうとしたことがった。しかし、持ち前の生命力で儂は帰らなかった。そこまで来ると儂の親も、一人息子である儂を育てる決心がついたようで儂を育てだした。しかし、明らかに他に人共と違う儂を普通に育てる事はできなかった。儂は昼間のうちは外に出ることができず、夜のみにしか活動できなかった。まるで西洋のヴァンパイアのような存在であった。そして、儂は一応大人になるまでに成長できた。そこで儂は一人の女と出会った。女は、儂のような他の人共とは違う異なるものを直し、普通の人にするとぬかした。はじめのうちは女を信用せずにいた、しかし女は何度も儂のもとにきて治療をさせてほしいとぬかしてきた。儂は、この体質ゆえに他の人共から距離をおかれ、あるいは忌み嫌われる存在であった。それゆえ、儂に近づくものなどいなかった。儂は、その女の優しさに触れ女に心を許した。そして、治療をうけることにした。しかし、結局女の優しさに心を許し治療を受けたのは間違いであったのかもしれぬ。儂は、治療をうけ太陽のもとにで、焼け死んだ。それは、儂を苦しみから開放してくれたのかもしれぬが、失敗は失敗である。では、そろそろ物語に移ろう儂が女に会い、死ぬまでの物語を。

 儂は、太陽に当たれぬということと驚異的な治癒能力をもつという以外には他の者と何も変わらぬ男である。儂が飯を食って生きていくにも働く必要がある。儂は、この体質が故に夜行性の生活をしざるを得ない存在である。儂の住む村で儂に当てられた仕事は夜篝火を焚き、村の畑を監視し獣が畑に侵入するのを防ぐ役割であり、また他の村からの侵入者を監視するというものである。村では、仕事をせぬものには食料も住居ももらえぬ決まりであったので儂はその仕事に従事している。儂は、治癒力のおかげか他のものよりも歳をとるのが遅いと見えた。儂と同じ時に生まれたものがしわだらけになり腰が曲がった老いぼれになった時でも儂は壮年のような容姿のままであった。はじめはその違いに儂自身・周りの者も驚きを隠すことができずにいたものであるが、慣れというものはおかしなものである。それが普通となり、儂も何も感じなくなった。ただ、儂は自分に当てられた役割を全うし生きていくだけである。言うのが忘れていたが、このような儂にも一応は妻がいる。この村において村に仕事に従事しているものには妻を娶るのが義務のようなものであった。儂も、歳が近い適当な女子と婚姻したが、なぜか子は生まれなかった。儂は密かに、生まれてくる子供が自分と同じものであり、自分の同士になってくれるのではないのかと期待したが期待は外れた。先に言ったように儂は歳をとるのが遅いそれ故唯一の家族っであった妻も先に死んだ。まぁ、儂が夜行性故に子作りと飯を食う以外会わぬものであったのでが。そして、歳月が過ぎ儂と歳が近い者はみな死んでゆき、儂が村の中では最長老となったときにある物が現れた。そのものは、大きな木箱を背負いまるで行商人かのような出で立ちをした女でなった。そのものは、自分を医者という風に言った。ただし、普通の医者ではなく特別な医者だといった。怪我を治療したり、普通の病を治すのではなく特別な病を治すものだと、そしてこの村に日に当たれず、驚異的な治癒力を持ちあまり歳を取らぬ者がいるという噂を聞きこの村の訪ねたとのことであった。まさしく儂のことであった。そいつは、夜儂が仕事をしている際に儂の元を訪ねてきた。儂のことを詳しく見たいと抜かしてきた。儂は、怪訝に思いながらも一度そのものの診察とやらを一度受けてみることにした。儂は、この治癒力が故に病気も怪我もすぐ治癒するので診察を受けるなど初めてであった。あいつは儂の体を調べに調べた。そうして、そいつは儂に言った、あなたは病気であると。

 女が言うには、俺はとある病気にかかっているらしい。唯、病気とはいっても感冒のように人に写るということはなくてただ己のみが発症する病であるとのことだ。そして、女は自分がこれまでにも儂のような人間を何人も治療しそれが成功してきたと言う風に儂にも言ってきた。はじめのうちは儂はその女の話に耳を貸さなかった。なぜなら、儂はこのままでよいと思っていたからである。幾ら儂が歳が取るのが遅いとはいえ、儂の見た目からして四十代のような体つきになってきていた、もう百年も生きれば勝手に儂は死ぬであろうと思っていたからである。また、いまさら普通の人となってどうする儂の家族はもう殆ど残っておらぬ、子供ができなったのであるから孫もいるわけでなく、儂と同じぐらいの歳であるはずの人共はとっくに死んだ。そんな中で儂はこの体質があり、周りのものから気味悪がられながらも皆が嫌がる夜の番を行いどうにかこの村での立ち位置を保ってきているのだ。治療したところでどうなるというのだ。儂は、その女に対して無視を決めこむことにした。あれから、一ヶ月ほどたっただろうか女はなおも儂に治療の説得を続けていた。女が曰く、この病気のせいであなたは苦しんでいる、其の苦しみから貴方を救いたい。儂からしてみればただの迷惑であった。しかし、ある晩儂がいつものように番についているといつものように女が説得に来た。しかし、様子が違った。明らかに衰弱しているような雰囲気であった。連日の儂への説得が体に応えたらしい。儂も己のせいで人に死なれては気持は良くない。今日は、番を変わってもらい女を開放することにした。この時初めて、女とまともに会話をした。その晩、儂は女を介抱しながらいろいろな話を聞かせてもらった。今までに治療を行った患者たちの話、そしてその人共が普通に人となり幸せに暮らしている様子を。中には、妻子を持ったものもいるという話だ。儂は、この女に興味を持ってしまった。今まで自分は生きるのに苦労しなかった、しかし幸せを感じると言う瞬間は、殆どなかった。儂は、其の女を眠らせ、考えた。ここで儂が治療をうけると儂にも人としての幸せが訪れるのだろうか、真っ当な人になれるのか。儂はすっかり忘れていたがたしか妻を娶ったと時、幸せを望んだのかもしれないという感情があった事を。儂は一旦女の治療は受けないにしても診察を受けることにした。女はそれを聞くと大層喜んだ。多分、これでまた不幸な人間を一人救えると思ったのだろう。詳しく女が儂の事を調べた結果やはり、儂は病であった。ある種のものが儂が母の胎内におるときに母親の体を経由して感染したらしい。わしの場合は特に珍しく殆ど他の事例がないとのことであった。だが、女は確実に治せる自身がある脳な口ぶりであった。それは、今まで女が成功させた経験からくるものであったのだろう。女曰く、儂の病気はいはば寄生虫が体に入ったような状況であるからそれを下せば儂の病は治せるとのことであった。儂は、そのように儂ことを気遣い自分に体を壊してまで儂を説得しようとした女に情が写ったようだ。儂はこの体質がなおれば子も生まれると説明を受けた。儂は、どうやら其の女に好意を持ったようで儂は其の女に治療成功すれば儂と夫婦の契りをかわさぬかと提案した、女は少し迷ったようだが儂を治療し、この村に治療師として儂の妻として残ってくれルト約束した。儂の病の薬を作るには相当難儀するらしく完成までに一週間ほどかかった。さぁ、儂はこれで普通の人となり、女を妻とし普通の人となるつもりでいた。

 結論から言おう儂の病は治った、ただし片方だけだかな。儂は薬をのみ一晩眠り朝に起き、無事太陽のもとにであるはずであった。しかし、儂が日に当たるとこれまでのように体から火が燃え上がった、しかし回復だけはしなかった。儂は、屋内に運び込まれた大火傷に瀕死だ。女は泣いていた。ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返し儂に対して誤った。儂は死を前にし、女に大事胃思われていたことを知れて、大火傷の苦しみの中で一筋の幸せを感じ、死んだ。
 死んでいる儂がまだ語るのはおかしな話だが跡少し続ける。儂の病は一つではなかった。日に嫌われる病と異常生命力の二つの病を抱えていたのだ。女は其の一つ異常生命力歯科見抜くことができずこれを治療すれば儂を救えると思っていたのだろう。だが、現に儂は死んでしまった。もう人の寿命分は生きたし、最後にすこし人の優しさに触れられたから儂はそれだけで満足であった。その後女がどうなったかというと、儂を殺した己を許せず自分を殺そうとした。しかし、その時ちょうど村で大病人が出た。女はそれを救ってから儂の後を追おうとしたらしいが村人が彼女に残ることを願った。女は、この村で命を救うことが己の償いと受け止めその生命作るまで村で治療を行ったものだという。



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