リストラ
「大変、心苦しいが、今日で君には辞めてもらわないといけない」
派遣事務員を統括する藤堂課長から、出社した石田三成は言い渡された。
「了解しました。机を整理しておきます」
まあ、そろそろそんな時期だと思っていたので、三成に気落ちはない。
淡々と身辺整理をしながら、その日の仕事を終えた。
「ご苦労様、石田君、ありがとう。元気でやってくれ」
藤堂課長は労いの言葉らしいもので三成を見送った。
†
「藤堂課長、こんなものが石田君のパソコンから見つかりました」
翌日、部下の黒田から藤堂課長は驚愕の報告を受け取ることになる。
パソコン画面に人工知能のアイドルのような女性キャラが現れている。
「これは一体、何なんだ?」
藤堂は意味が分からず、日下部に問いかけた。
「人工知能ですね。しかも、我が社の事務処理全部を自動的に処理することができるアルゴリズムが組まれています」
黒田は冷静に答えた。
「それは我が社の事務員全てが必要ないという意味か?」
「そうですね。しかも、この人工知能は事務処理のみならず、在庫管理や物流、営業、果ては経営戦略まで自動化できるアルゴリズムまで提案してきています。如何致しましょうか?」
黒田の表情は読めない。
この男は一体、何を言いたいのだろうか?
我が社の社員を全部、リストラすべきだとでも言いたいのか?
「全部削除してしまえ」
藤堂は当然のように言い放った。
「了解しました」
黒田は静かにうなづいた。
その翌日、部下の黒田官兵衛は会社を辞めた。
(あとがき)
『定時で帰るから』という理由で派遣社員をクビにした課長→辞めたその子のPCを片付けてたらとんでもない悲劇が判明
https://togetter.com/li/1312087
こういう実話があったそうな。
実は事務処理をプログラムで自動化してて定時に帰っていたというオチ。