第25話 開拓17日目 壁パネルの作成①
◇ ◇ ◇
今回の小屋づくりに当たって一番時間が掛かったのは、実は"土地探し"だった。
山林の土地というのは普通の不動産屋には売っていないが、ネットで少し検索すれば専門業者のサイトが簡単に見つかる。
しかし、そのような専門業者が扱っている土地は価格が高く、私が欲していた数十万円以内で買える極小さい面積の土地と言うのはなかなか見つからなかった。
またある業者のサイトでは、かつて別荘地だった場所または別荘地に開発する予定だった土地を業者が小さく分割して個人向けに売っていると見られる例も見つけたが、それも私が欲していたものではなかった。
なぜなら、せっかく山に小屋を作ったのにご近所さんがいるというのは望んでいないからである。週末に自分の小屋に行ったらご近所さんに見つかってBBQに誘われてしまう様なシチュエーションは何としても避けたかったのだ。
私にとって、山の小屋は秘密基地の様な場所であって、他人の目が気になる場所はどんな山奥にあったとしても、条件を満たしていない場所と言えた。
◇ ◇ ◇
小屋を作る費用の目処がついた頃から約2年かけて地道に山の土地探しを続けたが、条件を満たす土地はなかなか見つからなかった。
もしや私の小屋づくり計画は最初のステップである土地を買うという部分で頓挫してしまうのではないか、と思いかけたそんなある時、ネットで見かけたあるブログの記事の内に興味深い情報を見つけた。
そのブログ作者は『山に土地を買って移住すること』を目的に土地を探しており、その経過をブログ記事にしていたが、その内に後に私が買うこととなった土地が紹介されていた。
ブログ作者によれば、この土地は"とても惜しい土地"とされていた。
この土地は地主も安価で売却意向ではあるが、平地が少なく農業には向かず、かといって林業を行うには狭すぎるという『恒久的な生活の場所』とするには厳しい条件の場所だったのである。
これらの条件は山への移住を目的にしているブログ作者にとっては残念な要素だったのであろうが、山に小屋を作ること自体を目的としている私にとってはこの上なく都合の良いものだった。
こうして偶然、縁もゆかりもない山林の土地の情報を得た私は、その後様々なやりとりや手続きを経て、この土地を買うことができたのである。
◇ ◇ ◇
[ 開拓17日目 ]
土台と床が完成したので、次はその上に壁パネルを作っていく。
|2×4《ツーバイフォー》工法は別名で『枠組壁工法』とも呼ばれ、複数の壁パネルを組み合わせることで建物の重量を支えることが特徴である。
柱や梁を用いる在来工法と異なり、壁自体がそれらの機能を果たすのである。
今日は壁パネル作成の初日なので、まずは壁パネルに使用する木材を準備していく。
◇ ◇ ◇
[ 壁パネルの準備 ]
壁パネルは|2×4《ツーバイフォー》の角材で枠を作り、その上に12mm構造用合板を貼って作成する。
枠に使用する枠材は長さを調整するために切断する必要があるので、まずはその作業を行う。
まず枠材に使う木材をメジャーで測り、切断する箇所に墨付けをする作業を行うが、この時、床を作業場所として使った。
広い水平面の作業場所があるというのはとても便利なことで、あらゆる作業が進めやすくなると感じた。
◇ ◇ ◇
14時頃に壁パネルに使う枠材の切断作業を終えたので、次に枠材の防虫・防腐処理を行うことにした。
今回は枠材用には防虫防腐処理されていない普通の2×4材を買ってきているため、屋内用の木材保護塗料を塗布する。
塗布に先立って、木材の表面をサンドペーパーでヤスリがけして均一にしておく。この作業にどれだけ効果があるのかわからないがいちおうやっておいた。ただし今回は木材の数が多いのでごく手早く済ませることにした。
次に、一番安かったペラペラのブルーシートの上に枠材を並べ、順番に木材保護塗料を塗って、乾くまで待つこともなくどんどん裏返して全面を塗っていく。
少し雑になってきている気がするが、妥協するところは妥協していく。
この日は陽が暮れてもヘッドライトを使ってしばらく作業を続けた。
◇ ◇ ◇
--経過--
進入路の工事 完了
資材の購入(基礎・土台)完了
資材置場(仮)の建設 完了
基礎工事 完了
資材の購入(床材・壁材)完了
土台 完了
床の施工 完了
資材の購入(屋根材) 完了
壁の施工 進行中
枠材の準備 進行中
壁枠の作成 NEXT