第20話 開拓13日目 土台の組付け、資材買い出し②
◇ ◇ ◇
<続き>
やってしまった……。
一昨日の大雨が降った後、進入路の無事を確認していなかったのだ。
林道から建設エリア前まで自動車で直接入れる様につなげた進入路は今回の小屋づくり序盤にあくまでも即席に作った道であり、その信頼性は低い。
特に約30センチの段差を木材や土嚢で埋めた箇所の内部は大雨に曝された後どの様になっているか分からない。
本来の手順であれば、ホームセンターへ買い出しに行く前に、普段乗っている軽自動車を使って進入路上を無事通過できるか確認しておくべきだったが、そのことをすっかり失念していた……。
しかし時間は巻き戻せないのでもうどうしようもない。軽トラの貸出し時間制限が迫る中、このトラブルをどの様に対処することが最適か頭をフル回転させて考える……。
◇ ◇ ◇
理想的な展開としては進入路を無事通過でき、予定通り建築エリア前で荷下ろしすることである。この場合、貸出し時間制限に間に合うし労力も最小で済むだろう。
最悪の展開はとしては進入路の強度不足でタイヤが埋まり、スタックしてしまうことである。軽トラの荷台にはまとめ買いした建築資材が大量に積んであり、また車体も含めるとその重量はかなりのあると予想されるのでスタックする可能性は十分にある。仮にそうなってしまった際は自力での脱出は絶望的に困難といえる。
もしそうなった場合でも普段乗っている軽自動車が手元にあれば、軽自動車使って牽引し脱出することも可能かもしれないが、残念ながら軽自動車は軽トラと引き換えにホームセンターの駐車場に置いてきているので不可能だ。
そもそもなんらかのトラブルがあった時点で軽トラの貸出し時間制限を超過することは避けられないだろう。
もし貸出し時間超過でホームセンターのブラックリストに乗ってしまえば、今後軽トラレンタルサービスが利用できなくなるかもしれず、少なくとも屋根材を買うためにあと1回は軽トラレンタルが必要な現状、それは大きすぎるリスクと言える……。
1〜2分ほど、運転席であれこれ考えていたが、とりあえず林道に停めた軽トラから降りて進入路の状態を確認しに行く。
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進入路の段差を埋めた部分を観察すると、少なくとも表面はそれほど水分は含んでおらず乾燥していた。しかし、さらに踏みしめて確認してみるとその地面はほんの少し緩く感じた。
少なくとも"大丈夫とは言い切れない"と言う状態だ……。
…………。
思案した結果、林道脇に荷下ろしするという決断を下した。
林道から建築エリアまでの距離は15メートルほどと言ったところだろうか。林道脇に荷下ろしするということは、あとで何十往復もしてこの距離の間を荷運びしなければならなくなることを意味するが仕方がない。
軽トラ荷台のロープをほどき、アオリを外して荷下ろし作業をする。
降ろした資材の整理は、軽量な断熱材が飛んでいかないように木材を上に置くことぐらいにとどめ、急いでホームセンターへと引き返した。
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ホームセンターにつき制限時間内に軽トラを返却したあと、私は絶望的な気分で山林の土地に戻ってきた。
今回の失敗はこれまでの小屋づくりの中で、初めての明確な失敗だった。
資材は別に今日買いに行く必要はなかったし、事前に進入路を確認して修繕する時間の余裕は十分にあったはずである。
"気持ちが焦っていたのだろうか?"
失敗に対するマイナス思考は止まらないが、現実問題としてはこれから先のリカバリーを考えることの方が重要であると考え、無理やり気持ちを切り替える。今日中に終わらせないといけない作業はまだたくさんあるのだから……。
◇ ◇ ◇
資材を仮置きした林道脇から建築エリア前に運搬する作業に先立ち、余っていた砂利やタコを使って進入路の修繕を行う。少しでも肉体的な負担を減らすため、軽自動車を運搬手段として使うことにしたのだ。
進入路の修繕が終わったあと、軽自動車でその上を通過し確認を行い、無事通過できることを確認したので、壁に使う2×4の角材を載せて運ぶ。
しかし、床や壁に使う合板は大きすぎて軽自動車に載せることはできなかったため、人力で運ぶこととなった。
床に使う24mm厚の構造用合板は非常に重く、また取っ手も付いていないため持ち運ぶことがとても困難であり、地獄の様な作業であったが、休憩を挟みつつ日が暮れる直前頃に運搬作業を終えた。
土台の組付け作業はまだ途中だったが、あまりにも疲れていたので作業中の土台にブルーシートをかけて、今日の作業を終えることとした。
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--経過--
進入路の工事 完了
資材の購入(基礎・土台) 完了
資材置場(仮)の建設 完了
基礎工事 完了
資材の購入(床材・壁材) 完了
土台 進行中
木材の加工 完了
組付け 進行中