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5話 公正試合実行委員会の娘と警察官との闘い二本立て

5-1「いきなり知らない女の子に話しかけられました。誰なんだよ君は。」

 あれから何日もまた過ぎた。あれから俺は連戦連勝の日々だ、といっても会社の帰り道と会社が休みの日だけかな。
 しかも判定勝ちかつ5分勝負ばかりだけどな、保有ポイントも30ポイントになった。
 俺って実は凄い才能があるんじゃないかな、しかも俺は今までお世辞にも運動神経が物凄くいいわけではなくて、いわゆる器用貧乏である。さまざまなスポーツをしてきたと前話していたが、どれも1年ぐらいでやめている。
 そんな俺が自身の能力「逃げること」でここまで能力ファイトをして闘えるなんて、俺は今凄い充実してる人生だと実感できる。
 これは俺の人生の絶頂期ではないだろうか?なので俺は暇さえ見つけたら最近は能力ファイトをおこなっているのだ。

 そしてそんなあるまたの休日にはこれを上回るまたもや俺にとっての事件が起きる。
 シオウとの闘いがあった河川敷近くの道路をなにげなく散歩していた日に。

 またもや知らない女の子に声をかけられた。
 だから誰ですかーーー!知らない人に声をかけられるのは苦手なんですーーー!
 と叫びたい気持ちをぐっとこらえる。
 のだそして俺はその変てこな恰好をした学生だと思われる。女の子の話をとりあえず聞くことにした。

「あなたは絶対に不正を行ってます!!」
「なので私自らがあなたと公正試合実行委員会権限で能力ファイトを行わさせてもらいます」
 はい?公正試合実行委員会って……もしかしてあの“こうしじかい”が俺に対して動いたのか?え?なんで?俺何も不正とかしてないぞ?

 公正試合実行委員会とは……その名の通り公正に能力ファイトが行われているかを監視し、実行されてない場合は訂正を即す委員会でいわゆる取締りの組織だ。
 一応国の管理下だがやり方は市町村単位でメンバーを募集したり大人から子供(15歳以上ぐらい)までのメンバーも募集する無給ではないのでアルバイトみたいな感覚でもできるが
 結構審査が厳しいと書いてあったのをネットで見た。


 ところで……俺は疑問点の解決のために質問をしてみた。


「公正試合実行委員会権限での能力ファイトとはなんですか……俺は不正なんてしてませんし……」

「何を言ってますか? これでもあなたがここの河川敷で能力ファイトを行っていたのを見てから、監視をしていたんですよ。はっきり言いましょう。あなたは最近能力者ファイターとしてデビューしたのに強すぎます。私調べでは12勝2敗ですあなたの公式記録は、勝ちすぎですよ。これはいくら判定勝ちばかりだけでもおかしいです!! よって私自らあなたの実力を図るために公正試合実行委員会権限で能力ファイトさせてもらいます。」
 赤毛のツインテールの女の子はかなりの早口で俺に悪態をついた、結局能力ファイトしたいだけじゃないかと思った。俺はとりあえず軽い気持ちで受けてみることにした。
「いいけど……時間制の何分勝負にしますか?散歩の途中なんですよ、こっちも色々忙しいので…5分制でいいですか……?」

「ダメです! 体力制が原則です。公正試合実行委員会権限の能力ファイトはその大原則があります。拒否もできません。しかもあなたはレベル1なので私に負けた時の失うポイントは10Pになります。だからあんまし恨まないでください」
 最後だけ可愛く乙女を感じさせる強調をさせるように答えた。確かにこの女の子は可愛いほうに入ると思った。

 名前は朱家 雫(あけや しずく)と名乗った。私のことはしずくでいいですと言われた。
 名字で呼ばないほうが好みなんだろうか?よくわからないがならなぜに俺にフルネームを教えたんだろう。
 俺も名乗られたら名乗り返さないといけないと思い例の会社の名刺を渡す。

「竹男さんですか……名字も竹が付くんですね…ゴロはいいですね……」
 なんという率直な感想だというか初めてゴロがいいと言われた。
 今まで俺が学生の時はタケタケというあだ名まで付けられてかなり馬鹿にされて仕舞いには虐められてたからな。
 この女の子は実はいい奴なのかと俺の頭の中の彼女の確定的なイメージが出来上がりつつあった。
 そしてしずくちゃんは俺に自身の能力を説明する。

「私の能力名は【ブラッド・レイン】です。どうですか恐くなりましたか……」
 その時のしずくの眼は一見冷たくて冷徹だが、熱く燃え上がりそうな焔が瞳の奥底に見えたような感じだった。
 直訳すると血の雨か…物騒な名前だな……
 何を思ってこんな物騒な名前を付けたのか……

 そしてしずくはおもむろに腰に付けてあるかわいいポーチからカッターナイフを取り出す。
 まさかそれがお前の試合で使うアイテムなのか……!?マジで恐い女の子じゃないか。
 ポーチは結構かわいらしいのに……
 しかしどうやら違うようである。自分の指を少し切って血を垂らしている……?
 まさか…そのまさかである。
 彼女は自らの血を垂らして空中に血の雫を固定させた。
 そしてしずくは手を前に突き出してこう叫んだ。

「ブラッド・アタック!!」

 血の塊が弾丸のように打ち出された。俺の横を素通りして、どこかに飛んで行ってしまった。

「避けないで下さいよ……タケオさん」

「むちゃ言うな当たったら死ぬかもしれないだろ」
 まあ避けたつもりはないんだが。

「死ぬ?はははっ何言ってるのこの人死ぬわけないじゃない!」
 そしてこんどはまた血を大目に垂らす自分の指先から……痛いだろそれ能力のためなのかもしれないがな……今度は何発も打ってくる……何発もだ。
 次々と血の塊を打っては俺は逃げての繰り返しだ。
 よかった……初めて俺の能力が「逃げること」でよかった。
 こんなの一発でも喰らったら致命傷は避けられないぞ……

 それでだ……これをどうにかして止めさせたいのだ。

 どうする……俺はとにかく逃げることにした人間の出血量は限界があるので何発も打つことができないはずだーーーって打っている血の塊を自分の体内に戻しているだと……!?
 そんなこともできるのかよこのちびっ子女子高生だろうか?たぶん高校生だろうと俺は思った。

 そして遠距離から攻撃を当てるのは不可能と考えたのか、今度は接近戦を仕掛けてくるしずく。

「ブラッド・ナイフ!!」

 血液の点が出現して、それぞれが線を引きナイフの形が出来上がる、そのまま血のナイフは現実に出現した。
 俺に猛スピードで襲い掛かってくる。これじゃあしずくがただのメンヘラ少女で俺は痴情のもつれで襲われているようにしか見えないのである。はたからな見たらな。
 俺はとりあえず距離を取りまくる。距離をとってとって取りまくる。しずくは追って、追って追いかけてくる。

「待ちなさいよ! このまま逃がすと思ってるの!」

 良く考えたら時間制ではないことに気が付く俺……俺は永遠と逃げ続けなけりゃいけないのか……そりゃないわ……
 こうなったらわざと負けるのもいいかなという後ろ向きな考えも浮かぶ。めんどいしな。
 俺が普通に弱いという証明になるし大丈夫だろ。

 そして俺は上手くしずくの血で作られたナイフに当たってみた。
 結構痛いで済むかな…………あれ?確かに痛むが、パサッと斬られた割にかすり傷で済んでいる?その後何回も斬られるがどれもかすり傷程度だ……

 よく見ると自身の端末機で体力ゲージが空間にたまに映し出されるが、今まで夢中に戦っている最中で気が付かなかったが俺の体力ゲージのバーが黄色く点滅している。100パーセントあったゲージが40パーセントしかないぞ
 しかし、そのわりには俺にはそんなに痛みがないぞ……痛みはそんなにない、
 本当に痛みはたいしたことない。
 おれはちょっと聞いてみた。
「タンマだ……タンマ! お前に聞きたいことがある」

 しずくは立ち止まり攻撃の手尾を止めてこう返した。
「なんですか? もしかしてお手洗いに行きたいとかですか? ならさっさと済ましてきてください」
 露骨に嫌な顔をされた。ただ確かにトイレにも行きたかったので近くにある簡易トイレで用を済ます――


――そしておれは戻ってきた戦場にだ……俺は試合再開のボタンを押す前のしずくにある疑問をぶつけてみた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだ! しずくにだ!」
 俺は結構離れているところにいるので少し叫び気味に話す。

「なんですか、わかりやすく、簡単に言ってくれないと聞きませんよ!」
 しずくも少し叫び気味に俺に聞こえるように大きい声で話す。

「おまえから、すごい攻撃を受けたのに確かに痛みはあるんだが、実際に見るとかすり傷しか受けてないのはどういうわけなんだ……おかしくないか?」

「ああ、そのことは知らないのですか……まあそんなに強力な超能力者と闘っていませんからねタケオさんは……」
 公正試合実行委員会仕様であると思われるデザインをした端末機を見ながら、しずくは俺の問いに答えた。
 しずくは俺にわかりやすく説明した。

「私たち超能力者は本来ならこの世界では強すぎる能力もとい力がある人もいます。そもそもそういう人は危険人物としてマークされます私たちによって。犯罪を犯したらもちろん超能力者専用の刑務所に入れられます。ですが近年その強すぎる超能力に対してかなりの防衛策が整われました。新しい端末機が発売されました。いまや子供からお年寄りまで能力ファイターじゃなくても、もはや生活の必需品です。というか公式端末機になりました。その私たちにも支給されてるし、貴男のポッケに入っているその端末機の公式名称は【N・ターミナレン】と言います。それに付属するもっとも重要な機能と言いますか、新しい技術といいますか、内傷と外傷を半減以下に抑える技術が働いているので私の攻撃がタケオさんに当たってもほとんど致命傷にならないのです。すごい致命傷を喰らっても切り傷程度で済みます。そんなことも知らなかったんですか? 別に機密事項ではありませんよ……?むずかしい科学系のサイトぐらいにしか乗ってませんけどね……」

 俺の知らない情報がしずくの口から語られた。衝撃的事実を知った俺は内心かなり驚いたが、確かにそうでもしないと超能力者が暴力を揮って来たらどうするのかという疑問が生じるので今の情報は正しいと思うしかないのであった。
 俺は試合を止めされるためにしずくにこう言った。

「しずく……もう、俺の負けでいいよ……降参だ、俺はお前には勝てない!」

「そう言うと思ってましたよ……でももう遅いです貴男に対しての攻撃はやめれませんこれで終わりにしてあげますから……」
 試合再開のボタンを押して俺は強制的に試合をさせられる羽目になった。
 そしてしずくは自分の腕をカッターナイフでぐさりと刺した。
 うわっ痛そうだな。いくら外傷を半減以下にするとはいえ、痛みはそのままだろうに。
 血がドボドボと大量に出ている。そして血の雫は死神の鎌を連想させるような幾分巨大とも言える大きさに作られて、禍禍しい何かのオーラのような気を放っている。形はカッターナイフである。

「さあこれが私の必殺技よ!……【ブラッド・ドレイン・カッター】!! あなたの血のエネルギーをもらいますよ……さあ喰らいなさい!!」

 良くわからんが俺からエネルギーを吸い取る攻撃なのか
 どうしたものか避けれそうに思えない……逃げることはできそうだが。いやどちらも同じ意味ではないか?いや違うのか?
 しかし、この時俺はしずくの後ろから近づいてくる謎の女子に気が付いた。
 そしてその謎の女子はしずくの髪をグイッと引っ張ることに成功した。

「イタイイタイイタイ痛いよおおおおって……先輩!? なんでここに!? 今は別の人物の監視をしているんじゃなかったのですか??」

「なんだか胸騒ぎがしましたので……しずくのとこに戻ってきたら案の定……あなた私に無断で本気の能力ファイトしようとしてましたでしょ」

「だって~こいつ危険人物なんですよ~初心者なのに強すぎるんですよ~新しいゴミは早くゴミ箱に捨てるとかいうですよね先輩はわかってくれるかと思ったのに……」
 いつのまにか両腕に抱えていた巨大な血のカッターナイフはしずくの体内に血液として戻っていったのであろうと思う。
 ていうか俺はゴミ扱いかよ……しずくとか言う少女は結構いい性格しているな……

「しかも、あなた! 公正試合実行委員会権限での能力ファイトを行ったの!? 私の許可もないのに……しずく……わかてるわよね……(怒)」
 俺がゴミ扱いされているのはスルーでこの先輩女子は顔はニコニコと笑っているが、完全にキレていて、今にも爆発しそうな感じだった。
 髪は黒でロングの美人さんだ。髪留めがかわいいウサギ型だ。
 名前を聞くとまつりとだけ言って、しずくを無理矢理連れて帰って行った。
 遠くから見ると何度も怒っているように見えた笑顔で。
 俺は何だったんだろうと呆然と立ち尽くしていた。

 端末機に試合をやめて無効試合にしますかという項目があったのでそうした。しずくも渋々承知して端末機を操作していた。
 ポイントの増減は無しだ。
 俺はとりあえず家に帰りました。
 そしたらまた家の前に美知がいる……今日も仮想現実ゲームしに来たのかこいつは……
 まあこのことは黙っててもばれるので、あえて伝えたら、なぜか怒った美知も。
 よくわからん……マジでよくわからん…女の子という生き物は。


5-2「少女を連れ込んでいたらそりゃ目を付けられますよ、親の許可は取ろうね」

 俺はまたもや休日に相手を見つけては闘うの日々、半分はストレス解消だ。
 美知が毎日来るし別に嫌いじゃないけど俺の体に引っ付いてくるし俺は美知に子供アレルギーであることを言っていたけどな、なのにだ。
 おれがお前のその体質を直してあげようじゃないかとか言ってたし。
 余計なお世話である。がこれも多分ばれてる本当にこいつには隠し事ができない。
 嫌いじゃないのに……やっぱり俺の頭の中をのぞかれているのは不気味だ……しかも頭に話しかけてくるのはびっくりするし……できるだけ会話しろと口を酸っぱくして言っているが、これはどうしようもないらしい自分でもコントロールがあまり聞かないらしい。
 前にONOFFできてたのは何だったのか……

 ただ遠くにいると美知の能力の範囲外だと効果がないので……俺の家にいるとき以外は頭の中の考えのリンクが張れないらしい。

 そしてだ、そんな説明口調のことなんてどうでもいい事件が起きた……のではなく
 どうやらその事件の容疑者は俺のようである……っえ? 俺が容疑者……?
 俺は無実だーーー!!
 心でそう叫びたくなる。
 その時は美知が家に来ているときにピンポンがなる。誰だろうと玄関に出るとなんと制服姿の警察官である。もしかして見回りか……?確かに最近物騒な事件が起きていると小耳にはさんでいたが、俺はとりあえず出てみた。

「あの~なんの御用ですか……警察のかたですよね……」

「いえ実はですね、最近このあたりで少女の家出捜索依頼がありましてね見回りを行っているのです。そこでこの少女を見つけたら私に教えてください」
 俺はその写真を見てびっくりした……というかどう見ても美知にしか見えない。
 つまりあれか俺は家出中の美知を誘拐している犯人扱いされる危機に……直面している?
 あいつ家に帰ってなかったのかよ! 最近一日中家に入れてくれとか朝から来るから仕方なく留守番させていたら、そういうことだったのかよ……
 ヤバい今美知が警察官と会ったら……俺が捕まることになる……
 そしてお約束のお約束このあと美知が「なーに誰か来たの?」とか空気を読まずに、というかどうみてもわざとらしいテヘペロをして玄関まで飛んできた。
 そしておまわりさんは当たり前のことを言う。

「お前が誘拐していたのか……現行犯逮捕する」
 すごい顔で睨みつけられている。違う誤解なんだ、家に入れないと凍え死ぬ~とかだだをこねられたし、家出中とか美知からは聞いてないし。
 
((だって……心配かけたくなかったもん…タケオだけには))

(てめ~そのせいで俺が前科者の危機なんだぞ……ちょっとは俺の今後を心配してくれ)

((ごめ~~んタケオ、まさか捜索依頼出されてるとは知らなくて、まだ5日しか帰ってないだけなのにね))

(じゅうぶん家に帰ってないじゃないかーーー!!5日も家に帰らなかったら、ふつう親は心配しますわ……)

 またもや秘かに脳内会話を続ける俺たちはこのあと警察官に弁明した。
 土下座してしまった。しかしそれでもお役所仕事なのかとりあえず署までご同行してと言われた。
 それは嫌だと言う俺たち……。ならば私に勝ったら来なくてもいいと言われた。

 えっどういうことなんだ?警察官が賭け能力ファイトのことで説明する。
 能力ファイトの公式ルールにある賭け能力ファイトその賭けの対象は何もポイントだけではない。約束事、決まり事を決めれる。ただし、あくまでも法律違反にならないことまでだが……
 俺が勝ったら不起訴かつ事情聴取もなし、俺が負けたら事情聴取と親御さんに謝ることを約束させられた。

 俺たちは……いつもの河川敷に移動した。
 試合開始の承認ボタンを押す……電子音声が鳴り響く……
 今はもう夕方だ……日が沈む夕暮れ時嵐の前の静けさを感じさせる秋の風が勢いよく流れてくる中観客は美知のみの賭け試合が始まる。

 賭け能力ファイトの開始だ!!


5-3「俺とほとんど同じ能力者が相手なんて……しかも相手は上位互換」

 時間制10分ルールの賭け試合が始まる。負けた時や勝った時のポイントの増減はない、そのかわり先ほどの約束を守らないといけない。
 もし守らないと……ペナルティとしてボランティア活動を一年ぐらいさせられて。能力ファイトの一時的な無期限停止を言い渡されるとか。
 かなり厳しくないかそれ。

 そして俺はまず自分でおまわりさん相手に得意の猛烈なタックルを喰らわせようと猛ダッシュして接近したが、姿が一瞬で消えた……!?と思ったら少し斜め後ろにいた。
 突然のことなので俺は頭の中が混乱しそうになるが人間が急に後ろに移動できるということはないので能力によるものだと思った。
 ペラペラと自慢したくなるのが人間の性なのか……おまわりさんは自分で自分の能力を語りだした。

「不思議そうな顔をしているな君私の能力がなんだか考えているだろ? そうだなそんなに気になるなら教えてやろうじゃないか……私の能力はな【回避移動】の能力でな予備動作が必要ないオート発動の回避移動ができる力なんだよ……すごいだろ? レベルも3はある多分君はまだレベル1であろうその顔からして。」
 すごい……流石警察官だ……俺の考えを読んでいる……テレパシーの能力者ではないよなあ……たぶんこの警官はこの能力だけだと思いますが。

 そして今度は警官のほうから仕掛けてきた。
 予備動作のないダッシュでまるで地面を滑るように俺に接近してくる。
 そして、俺にロケットパンチでもするかのように勢いのある拳を繰り出してくる。
 俺はギリギリのところで逃げる、こいつは前闘ったしずくよりかはましだが、かなり強いと俺は確信した。

 それで俺はいつも通りの作戦に出た。時間めいいっぱい逃げる。これが俺の帝石だ。
 しかしそれを許してくれなさそうだ。この警官は。

 何と俺の逃げるスピードについて来てやがる。なんだと……!?と驚く隙も与えない。
 空手でもやってたのか、動きに隙がない……そりゃ警察官なら空手や柔道や剣道しているから強いに決まっているか……とか思ってる隙に後ろ回し蹴りを胸に受ける。
 素人の蹴りとは明らかに違う。かなりの痛みがあったが……外傷も内傷もない…安全装置が働いているんだったなそういえば。
 これで相手からボコボコにされても平気というわけか。
 残り時間は5分を切る……なぜか今日は美知が頭の中に話しかけてこないなと考えていると。

((呼んだ?))

(別に呼んでねーよ!)

(それよりなんで今日に限って作戦会議しなかったんだよお前の知能は俺より上なんだと思ってる節があるし……なんかいい戦略はないのかよ?)

((それが人に対して物をたのむたいどなのかな~なんてうそうそタケオにならいい戦略を教えてあげても良いかな))

(でっどんな戦略なんだ?)――

――ふむふむつまりそういうことか相手がオートに回避移動する能力なら捕まえてしまえばいいのか。
 すげえ単純なことに気が付かない馬鹿な俺はこの戦略を実行しようとするが。
 悟られてはいけない……とにかく捕まえるというより、攻撃あるのみだと思わせるあの警官に。

 そして相手の軌道を少し計算できるようになった俺は捕まえることに成功した。
 なれってすごいな。

「ほお~良くわかったな、私の弱点に……ならばこれで……どうだ!!」

 柔術を今度は使用してきた……しかし俺は絶対に離さないようにして服を離さない。
 そして相手は俺を振り回そうとして離したいようだが、何故か無理のようだ。

 そして俺は一瞬の隙をついて俺の十八番脳天頭突きを繰り出す。
 俺の石頭を舐めるなよ!!そして何度も何度もぶつけている俺は相手が気絶するまで脳天突きを繰り出す。そしてその前に相手の体力ゲージが無くなった。

 俺の勝ちのようだ。事情聴取は受けなくてもよくなったが……「一度は親に挨拶ぐらいしとけよ!」
 と頭の額のところを摩りながら逆切れされた……よって俺は美知の親に会いに行くことになったが……
 美知が「ちょっと待った!」と言ってきた。詳しく聞くと。
「タケオ……両親に会う前にな……両親より好きなおれのお爺ちゃんに会ってくれないか。そのほうがおれてきにもうれしいかな…………お爺ちゃんに将来の相手になりそうなことまではまだ言ってないけど……」

「えっ?なんだって?最後のほうが聞こえなかったんだが?」

「ななんでもないよ、それよりおれのお爺ちゃんの家にレッツだゴー!」


――ここからかなり近かった。15分ぐらいで美知のお爺さんの家に着いた。
 と言うか美知お前お爺ちゃんの家に住めよ!そのほうがいいだろ。
 そうしたら俺と毎日遊べるじゃないか。

((そうしてみるようおじいちゃんに今度たのもうかな~~))

(その考えはなかったのか……美知らしくないなあ)

((えへへ……タケオはやっぱりいいやつだよな~))ボソッ「大好き」

「えっなんか言ったか?」

「うんうんなんでもない……」

 そして俺は他愛もない会話をしているながら美知のお爺ちゃんの家の呼び鈴を鳴らした。

 そしてそこであった人物は俺が知っている人物なんだと俺は気づいた。そのまさかである。
 運命とかあるんだなと感じた。
 俺が能力の測定に行った時の最後の測定管の初老の爺さんだ。
「美知やあ、お主……儂のところにも電話が来ておったぞ、何日外をほっつき歩いてたのじゃ」

「ごめんなさい、お爺ちゃん……それより紹介したい人がいるんだ……」

「ん? そういえば横に立ってるお主は……誰じゃったかのう……確か前にあったこと有るような……?」

「ええ~と俺の名前は竹谷竹男です!美知ちゃんをちょっと保護していました。ゲームとかして遊んでいました」

「なんと……それはうちの美知が迷惑をかけてしまっておったじゃろ、粗茶でも飲まんかのと申してみるが……どうじゃ?」
 なんか俺のこと覚えてないようだな。まあいいか。
 そして俺は粗茶でも貰うことにした。茶菓子も頂いた。
 俺は今までのことを話した……お爺さんに
 するとやっと思い出したようだ。

「お主はあの時の検定に来とった……逃げ男君だね(笑)」

「酷い、確かに最後まで説明聞かなかったのは悪いですけど……俺の名前は竹男です」

「そういえばまだ儂の名前を教えてなかったようじゃな儂は大明理 心条(だいみょうり しんじょう)じゃ、美知がお世話になっておるようじゃのう……すまぬな…変な因果に巻き込んでしまって……」

「えっ? 因果なんのことですか??」

「美知のせいで無用な争いに巻き込まれているんじゃろう?」

「そんなことありません。美知ちゃんはちょっとわがままな所もありますが、根はいい子です。ジョークもいいますし」

 カツアゲのことはジョークにしといた。もう俺はこいつのことが気になっているのかもしれん。別に俺は断じてロリコンじゃないからな!!
 ただ一緒にゲームをしてくれるし、悩みを打ち明けたりしながら少しずつ仲が良くなっただけだ。ただ近くにいると隠し事もできないのはちょっとどころかかなり迷惑であるがな。

 俺はその日晩御飯もご馳走になった、寒い季節に入りたてなので寄せ鍋だ……明日から12月に入るからな。体はポッカポカにしないとな。

 しかも泊まるか?と爺さんは冗談で聞いてきたが、さすがに断った。
 ふとんも二つ用意していたらしい……なんでくっついてる上に枕が一つなんですかね……

 俺は美知の爺さんに挨拶を済まして、自宅に帰宅した。美知は今日はお爺さんの家に泊まるみたいだ……俺は今後の身の振り方を考えながら、また明日が始まる、始まるから俺たちは生活を続けるんだ……

 俺は毎日が超能力者になる前よりかなり充実していた。
 最初は迷惑だったかもしれないが、美知とも少しずつ心を打ち解けて行っている現在進行形で……変なことにも巻き込まれているかもしれないが、それはそれで俺の人生なのかもしれない。

 さあ明日も早いしもう寝ようかな、ぐっすりお休みなさい俺。
 そして俺は爆睡した。そして……またもや変な夢を見るのだがそれは内容を忘れてしまうほうがいいと思い起きたらすぐに忘れていた……俺はまたいつも通りの朝食を食べて、会社に出勤して行くのであった…………

しおり