194 相変わらず……
「お嬢ちゃんもかね?冒険者は危険な仕事だ」
シャルム様の言葉に、リリアンヌ様の表情がさらに沈んだものになる。
「だが、誇りのある仕事だ。君たちの耳に届いているか分からないが、リリアンヌと会った街の近くでスタンピードが起きてな。街への被害を防いだのは、冒険者たちだ。王都から軍が派遣されるまでの3日間、彼らは街を守り切ってくれた」
誇りのある仕事。
ああ、そうか。そうなんだ……。
たとえどんな仕事を選んだとしても、その仕事に誇りが持てるかどうか……私にはそれが抜けてる。例え一流企業である貴族の屋敷で働けることになったとして、その仕事に私は誇りを持てる?
私、この世界に来てまだ1か月も経っていないんだもの。自分探しをしてもいいよね。そう、レベルが10になるまで……それまでは、もう少しふらふらと気持ちが揺れ動いても……。焦らないようにしよう。
「知ってるよ!すんごく大きなクラーケンとか、バジリスクが出たんだぜ!」
「そうなのよ、コカトリスの毒で大変だったのよ」
シャルム様がふむと頷く。
「知っていたか。じゃぁ、S級冒険者のローファスがクラーケンとバジリスクをやっつけたのは知っているか?」
楽しそうな顔でシャルム様は話を続ける。
「もちろん知ってるさ!ローファスさんはすげーんだよ!」
カーツ君が興奮気味に口を開いた。
うん、そうですよね。すごいです。すごいはずです。どうにも食事風景しか思い浮かばず、すごいシーンが思い浮かばないですけど、すごいはずなんです……。
「無事に戻って来たって?!」
バタンと突然長いテーブルの反対側の端っこの向こうにある扉が激しい音を立てて開かれた。
そうそう、ローファスさん、美味しいものの匂いを嗅ぎつけると、こんな勢いで……。
って、あれ?
「ローファス!」
リリアンヌ様が、扉から入ってきた人物を見て立ち上がった。
本当に、ローファスさんだ!
そうか、大切なリリアンヌ様が帰って来たって聞いて来たのね!
ダダダッと、勢いよくかけてきて、両手を広げた。
ちょ、ローファスさん、いくら何でもリリアンヌ様のご主人であるシャルム様がいる場で、抱き合うとかダメですよ!
と、思ったら……。
ぎゃーっ!どういうことなの!
「よかった、ユーリ!無事だったか!」
やめてー!なんで、高い高いあーんどぐるぐるなのっ!
あううう、リリアンヌ様とシャルム様ポカーンと見てる。
っていうか、目が、目が回るよっ!
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↑この線より下は本編でなくあとがき
ということで、何か書いてもいいだろうか?
毎回だと邪魔かもしれないので、ご意見をいただけるとありがたいです。
それから、感想をいただいても感想返しができないようなので、
この場を活用したいかと思うのですが……。
邪魔だと感じる方もいらっしゃると思いますので、
ありかなしか、いただいたご意見をもとに「頻度」の調整をしたいと思います。
感想ありがとうございます。
なろうから飛んで読んでいただき感謝でございます。有難う!
ついに、次話では、リリアンヌ様の秘密が明らかにににに!