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「子供を作るって意味わかっている?」
もしかしたら、愛の心は子どものままかもしれない。
そう信じて、そう願っての言葉だった。
「知ってるよ
セックスするんでしょ?」
「そう……だね」
でも、意味を理解していた。
「だから、セックスをしよう?」
「ダメだよ」
「いいの」
「何が……?」
愛の表情は今にも泣きそうだった。
「お兄ちゃんの為なら何でもするの」
「どうして……?」
「そんなの決まっているよ?
お兄ちゃんのことが好きだからだよ」
「そうか……」
「でも、お兄ちゃんの中には、私はいない」
「そんなことは……ない…」
「私わかるもん。
お兄ちゃんの中には、私の知らない女の子がいる」
誰のことだろう…?
「思い出さなくて、大丈夫だよ……
ここに来ると、全て忘れることが出来るんだよ
つらいことも悲しいことも……
全部、全部、ぜーーーんぶ。
忘れる事が出来るんだよ」