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監獄ホテル 殺人事件 著 にるにるに~る (おかゆうき)



海外に、監獄ホテルというものが出来た。


それを模してか、


元、精神病院をホテルにしたらしい。



正直俺は行きたくなかったが、

知り合い警察官の頼みで


行くことになった。


まあ、1泊で10万くれるらしい。


いいバイトだと思えばいい。




ここは元々、裕福な家庭の子供が


精神を病み、入れられていたらしい。


部屋の窓には、金属糸入りの強化ガラス。窓は開かない。


外部にも鉄格子がある。


「こりゃ、高級な監獄だな。」



すみません 赤瀬様、鍵が一本紛失いたしまして、


7号室は、マスターキーをお使いいただけませんか。


そう言うと管理人が申し訳なさそうに、


1本しかないマスターキーを大学生に渡した。



「ああ、別にかまわないよ。」


鍵は内外両側からキーでかけるタイプ。


ピッキングや穴を開けても扉は開けられない。


えらく、厳重な構造だな。



大学生 赤瀬隆一、


消防士 高橋洋一郎、


外国人記者 ロバートウイリアムズ、


火災保険の金を得た 斉藤美奈子、


特に被害はなかったが元住人 木下真紀子


そして、榊原総一郎 病気療養中だ


そして俺 新堂 耕作。


後はここの管理人だ。



合計7人、各自個室に泊まっていた。


案内状には、手紙と、入り口の鍵が入っていた。


当然、元精神病院 その共通鍵


といってもこっちは電子ロック、


これがないと閉じ込められてしまう。



話を聞いていくうちに、ある共通点があった。



「ここにいるのは、10年前のタワーマンション火災に関係ある人


それで間違いありませんね。」



「ああ、そうだと思います。


赤瀬隆一さんは亡くなりましたが。」




真っ先に緊張の糸が切れたのは榊原だった。



「俺はもう寝るぞ、10年前から不眠症で、


精神科にかかってるんだ。」


「たしか、火事でご家族をなくされたとか」


「しらねえよ。それが原因で精神科に通ってるんだ


掘り返さないでくれ。」




消防士の高橋洋一郎も怒鳴り声を上げていった。


「俺も早く部屋に戻りたい、朝一でここからでる。


殺人鬼と一緒になんかいてられるかよ。」



斉藤美奈子と木下真紀子、ロバート・ウイリアムズは


今夜は寝ないで、応接室で過ごすようだ。


ウイリアムズさん、あなたはタワーマンションの火事を


偶然発見され、飛び降りる人を偶然、報道したとか。


「やめてくれ、今思い出したいことじゃない。」


斉藤さんと木下さんもあのマンションの住人でしたよね。


「確かに火災保険降りたけど、年老いた母は、逃げ遅れて死んだのよ。」


「おもいだしたくないっ。」


私は単なるここの管理人。何も関係ありませんよ。


そう言うと、応接室に紅茶を出していた。


落ち着いてください。


あと5時間もすれば、電力が復旧します。



そうすれば電子ロックを開けて


自動車で、山道を降りられます。



朝が来ると、犯人は 明らかにあの人だった。


そこで俺は管理人に頼んだ。



「ためしに、1号室の外穴に1号室の鍵を、内穴に2号室の鍵を差し込んで、


外側から開けてみてください。」


「あ・開かない。」



「違う部屋の鍵を外側から差し込むと、


内側からその部屋の鍵をさしても開かなくなるんですよ。」



「唯一の例外は、マスターキー。」


「赤瀬さんは、唯一、マスターキーを持っていました。


でも、もしそれが他の鍵とすりかえられていたら。」


「管理人さんが落ちているのを見つけた


赤瀬さんの部屋7号室の鍵は誰が持っていましたか?」



「いや、誰も使わないと思って、管理人室においてあったはず。」


「それは、今もそこにありますか。」


「ない。」


「え、この鍵はマスターキー。」


「犯人は誰がやったかわからないように、マスターキーをおいた。


これが失敗です。」


殺されたのは、赤瀬さん一人だけ。


つまり鍵を2本持っている人こそ犯人です。



1号室の鍵は1号室を内から施錠できる。


そして、2~7号室を外から施錠できる。


1号室の部屋を施錠した後、外からマスターキーで開けられなくするには


もう一本鍵が必要です。



「人を殺した人の心理は単純で、自分も殺されるかもしれないと考える


当然ですよね、施錠せずに寝るなんて出来ない。」



でも一睡もせずにここいいたら一目瞭然、


疑われてしまいますよね。


マスターキーはすべての部屋を空ける鍵。



そして、マスターキーはどこの部屋も内側から施錠できない鍵なんです。


つまり、誰かと交換しても、マスターキーをこの部屋に置き


赤瀬さんを殺した時点でかぎは、1本余っています。



榊原さん、あなたは部屋から出るとき、鍵をかけるのが遅かったですよね。



この館に入ってから、持っている鍵は1本、迷うはずはないんです。



「ははは、カードキーや電子ロックとかならよかったのに


くそっ、中途半端に古い鍵だからばれちまったじゃないか。」



「10年前、マンションが火事になったんだ。


俺と死んだ家族の部屋は25階だった。


消防車も届かない。部屋から出られなかったんだ。」




「そう、どっかの糞餓鬼が、同じことをしてやがったんだ。


とんでもない悪運さ。」


「それがこいつさ。赤瀬隆一。死んで当然だろ。


俺の息子はこいつの同級生だった。


夜飲みに行ってた、俺以外全員しんじまったんだ。」



「赤瀬のやつ、鍵のトリックを教えたら、


号泣して謝ってたよ。娘と付き合ってたらしい。」



そういうと、榊原総一郎は息を引き取った。


死因はいずれ、検死でわかるだろう。


あまり後味のよくない終わり方をした、殺人事件だった。

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