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午後3時
いくらなんでも遅すぎかな?
もしかして、雨だから来ないのかな?
雨天決行と言うべきだったね。
僕ってバカなのかな?
濡れた服が気持ち悪い……
午後5時
空が、そろそろ暗くなり始めた。
結局来なかったね。
僕は、何やっているんだろう…
昨日、水谷さんは学校を休んでいたじゃないか。
風邪で休んだって担任が言ってたじゃないか。
まだ体調が悪いのかも知れない。
僕は、諦めて帰ろうとした。
その時……
「結城君?」
僕は、その声がする方を見た。
そこには、買物袋をぶら下げ傘をさした水谷さんが立っていた。
「7時間も遅刻だよ」
「ずっと、待っていたのですか?」
「うん」
「どうしてですか?」
「どうしてって?」
「私の過去を知ったのに……
どうして、そうやって待っていれるのですか?
私のこと嫌いにならなかったのですか?」
そう言った水谷さんの声は今にも泣きそうだった。