バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

168

 午後3時

 いくらなんでも遅すぎかな?
 もしかして、雨だから来ないのかな?
 雨天決行と言うべきだったね。

 僕ってバカなのかな?

 濡れた服が気持ち悪い……

 午後5時

 空が、そろそろ暗くなり始めた。
 結局来なかったね。

 僕は、何やっているんだろう…
 昨日、水谷さんは学校を休んでいたじゃないか。
 風邪で休んだって担任が言ってたじゃないか。
 まだ体調が悪いのかも知れない。

 僕は、諦めて帰ろうとした。
 その時……

「結城君?」

 僕は、その声がする方を見た。
 そこには、買物袋をぶら下げ傘をさした水谷さんが立っていた。

「7時間も遅刻だよ」

「ずっと、待っていたのですか?」

「うん」

「どうしてですか?」

「どうしてって?」

「私の過去を知ったのに……
 どうして、そうやって待っていれるのですか?
 私のこと嫌いにならなかったのですか?」

 そう言った水谷さんの声は今にも泣きそうだった。

しおり