昔話
ただ愚かな人間に神様が罰を当てただけだとおじいさんは言いました。
いたずらをした孫たちは笑いながらその話を聞いています。
おじいさんは続けました。
なのに人間は自分たちの行いが怒りに触れたと気付かず、暴れる神を魔物だと思い込んであそこに封じ込めてしまったのだと。
眉をひそめ、恐ろし気な表情をしたおじいさんは孫たちに言って聞かせました。
だからあそこで遊んで、もし祠が壊れてしまったらどうなる? もし神が怒りを募らせていたらどうなる? 神は魔物よりも怖い存在なのだ。決してあそこに行ってはならん。
孫たちは涙を浮かべてごめんなさいと謝りました。
「ははは、わかればいいんじゃよ。おうおう。そげな顔せんでええ。祠壊して神さんを起こさん限りだいじょうぶじゃ。
そうさな、もし今よりも村人がたーんと増えて、住む土地が少のうなって、祠のあるお山を削って取ってしまわん限りだいじょうぶじゃ。
なになにこんな広い村じゃ、住むところがなくなるわけがなかろうて。それにな、そもそも山を削り取ってしまうことなど人には無理じゃ。
だから、お前たちがあそこで悪さをせん限り心配無用なのじゃよ」
いつもの笑顔に戻ったおじいさんを見て、孫たちもほっと笑いましたとさ。