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「どうぞ……」
水谷さんが、僕の机にお弁当を置いた。
「朝、瞳さんから預かりました」
「そ、そうなの?」
「はい」
そして、沈黙が流れる。
「食べないんですか?」
水谷さんの目が淋しげだ。
「食べようかな」
僕は、そう言って自分の机を後ろに向けた。
「じー」
水谷さんが擬音を口にして僕の顔をじっと見つめている。
どうしたんだろ?
蓋をあけると、ご飯に鶏そぼろが乗っていた。
昨日、乗せて欲しいって言ったからな……?
「美味しい?」
「ああ、美味しいよ」
「よかった」
「もしかして、水谷さんが作ってくれたの?」
水谷さんは、コクリとうなずいた。