08
――処刑場
「殺せ!早く殺せ!悪魔の子を殺せ!」
男がそういって怒鳴っています。
「殺せ殺して!早く殺して!
私の娘を返さない罰よ!」
女がそういって涙を流します。
トールを拘束している男がいいます。
「こんなに小さいのになんて恐ろしいやつだ」
「まぁ、悪魔の子だから親にも捨てられたんだろ?
噂では、、ありとあらゆる魔法を1歳のときに全てマスター。
2歳のときに全ての流派の剣術をマスター。
3歳のときに銃火器の扱いを全て覚え、4歳のときに親に捨てられる。
それ以後、村の片隅の館でひきこもり生活。
そりゃ気味悪いさ。魔法なんて20を超えた俺ですら数えるほどしか使えないのだからな」
「そういうのいい方向に使えばよかったのに……」
そういってメガネを掛けた少年がいいます。
「!?!?王子様!」
トールを拘束している兵士が慌てます。
「王子……?」
トールは、静かにその王子の方を見ます。
しかし、その王子はトールに興味津々です。
「君、本当にそんな悪人なの?」
「おねこのすけ王子!
危険ですお下りください」
男がそう言ってトールの身体を地面に叩きつけます。
「乱暴なことは止めて!
僕は知りたいんだ。
この人が、トールくんがそんなに悪い人なのかを……」
「僕は、誘拐とかしてない」
トールがそういうと男たちが騒ぎます。
「じゃ、誰がやったというんだ!」
「お前しかいないだろ!?」
「んー
じゃさ、兵士さん。
君が女の人を誘拐したの?」
おねこのすけの突然の質問に男たちが慌てます。
「な、なにを根拠に……」
「だって、やってない理由に関してはトールくんも兵士さんも同じじゃない?」
「ですが、トールには悪魔の子というレッテルがあります」
男も引きません。
「んー、普通の子だよ?」
「え?」
その言葉にトールは驚きます。
「だって、今この子は絶望している。
悪魔は絶望しないよ?」
「いや、でも!コイツがやっていないのなら誤認逮捕になります!
そうなると我々の面子が!?」
男が怒鳴ります。
「わかった。
じゃ、僕はトールくんを預かる」
「何を戯れを……」
「連続少女誘拐事件の犯人を根拠なく死刑にしたなんてなったら……
タンドレッス王国の面子が潰れる」
「そういわれましてももし違ったりしてたら……」
「また女の子が誘拐されるかもしれない」
「……はい、そこまで」
そういったのはタンドレッス王国騎士の猫神です。
「ね、猫神さま……?」
「トールくんは僕らが預かる。
それでいいよね?」
猫神のぐるぐるメガネが光ります。
王国騎士に逆らえる兵士はいません。
男たちは舌打ちを打ったあとトールの身柄をおねこのすけに預けました。