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「ご飯粒ついていますよー」
水谷さんは、そう言って僕の頬についたご飯粒を取った。
顔が熱くなるのが自分でもわかった。
「ご、ごめん」
僕が謝ると水谷さんが、悪戯っぽく笑った。
そっか。このざわつきの原因がわかった。
僕は、水谷さんのことが好きになりかかっているんだ。
「顔、真っ赤ですよ……」
「気のせいだよ」
「気のせいですか……」
瞳の方に目をやると少し寂しそうな顔をしていた。
こんなことで、寂しい顔をしている。
僕に彼女が出来た時、瞳はどうなるんだろう?
「瞳、どうした?」
「うんん。
何でもない」
「そっか」
「うん」