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ふたりの男が、僕に殴りかかって来た。
僕は、その男の攻撃をひょいひょいっと避ける。
そして、その隙に一撃、二撃と入れる。
流石に僕は、格闘技なんてやってない
だから一撃で倒す事は出来ない……
だけど、瞳に技をかけられ続け早十年。
この程度の動きなら容易によける事が出来た。
僕がこのふたりを相手している間に、瞳はもう残りのひとりをノックダウンさせていた。
僕は、ひとりの攻撃を避け、背後にまわり蹴りを喰らわせた。
すると、もうひとりを巻き込む形で倒れこんだ。
男たちは、降参したのか舌打ちをすると早足にその場を去った。
「大丈夫?」
僕は、絡まれていたその子に声をかけた。
「お兄ちゃん?」
「え?」
「あ、言えなんでもありません……
助けていただきありがとうございました」
「いいよ、気にしなくて良い」
瞳は、苦笑いを浮かべながら言った。