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「起こしてくれたらよかったのに……」
「だって、水谷さんの方がいいかなって思ってさ」
「そっか」
「水谷さんと、仲良くなれたでしょ?」
「うん……
友達になれたけどさ……」
「おー
よかったじゃん!」
「うん……」
「どした、元気ないぞー?」
「いや、何でもないよ」
「ふーん」
どうして、水谷さんのことが気になるかな?
自然に話せるのかわかった気がする。
僕と水谷さんは似ているのだ。
ひとりぼっちの怖さを知っているんだ。
誰かと一緒に居れば一緒に居るほど、ひとりぼっちになる瞬間が怖くなる。
それなら、最初からひとりの方が良い。
だって、孤独を感じなくて済むのだから。